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新型コロナで悲鳴あげる都心の飲食店 存続の道を探る六本木の老舗ジャズクラブ (1/3)

新型コロナウイルスの感染が再拡大する中、8月の外食全体の売り上げは前年比84%と7月よりも低下し、回復傾向は頭打ちに――。中でもパブ・ビアホールと居酒屋は、東京都などの自治体が飲酒を伴う業態に営業時間短縮を要請したことで、4月以降壊滅的な状況が続いている。

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 「7月から新型コロナウイルスの感染が再拡大する中、8月の外食全体の売り上げは前年比84%と7月よりも低下し、回復傾向は頭打ちになりました。中でもパブ・ビアホールと居酒屋は、東京都などの自治体が飲酒を伴う業態に営業時間短縮を要請したことで、4月以降壊滅的な状況が続いています」

 こう指摘するのは、外食産業の市場動向調査を毎月実施している一般社団法人日本フードサービス協会(東京・港)。大手チェーンを中心に、225社の3万8000店舗を対象に調査を実施している。9月25日に発表された8月の調査結果は、飲食業界の厳しい状況を象徴する内容になった。

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ビアホールと居酒屋は4月以降、壊滅的な状況が続いている(以下、撮影:山崎裕一)

 新型コロナウイルスは、東京や大阪を中心に7月後半から再拡大が始まった。飲食業は緊急事態宣言が解除された5月25日以降、いったんは回復の兆しが見えつつあった。好調なファストフードがけん引する形で、7月には全体で前年比85%まで回復。それが8月は前年比84%と頭打ちになった。

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好調なファストフードがけん引する形で、7月には飲食業全体で前年比85%まで回復。それが8月は前年比84%と頭打ちになった(売上高と店舗数の伸び率推移)

 飲食業界で特に回復が遅れている業態が、飲酒を伴うパブ・ビアホールと居酒屋だ。調査結果によると、売り上げは4月が前年比8.6%、5月が10%。緊急事態宣言の解除を受けて、6月は39.9%、7月は47.2%と厳しい数字ながら上昇していたものの、8月は再び41%に落ち込んだ。

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飲酒を伴うパブ・ビアホールと居酒屋の売り上げは4月が前年比8.6%、5月が10%。6月は39.9%、7月は47.2%と上昇していたものの、8月は再び41%に落ち込んだ(売上高前年同月比)

 しかし、これはあくまで全国チェーンの店舗を対象とした調査だ。詳細な数字には現れていないが、東京でいえば六本木、新宿、渋谷、池袋といった都心の繁華街にある飲酒を伴う店舗は、9月15日まで営業時間短縮が要請されていたこともあり、営業継続が困難な状況に置かれているという。

 もちろん、すでに閉店した店も多い。しかも長年親しまれてきた老舗が、惜しまれなら閉店したケースも目立つ。繁華街にある老舗は、その街の文化を象徴している場合がある。ほとんど売り上げがない中でも、東京・六本木で営業を続け、存続の道を探っている老舗ジャズレストランを取材した。

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飲食業界で特に回復が遅れている業態が、飲酒を伴うパブ・ビアホールと居酒屋だ

「全くお客が戻ってこない」

 六本木ヒルズにほど近いビルの5階にある、老舗ジャズクラブ「alfie」。有名なアーティストのライブを楽しめるパブで、今年でオープンから40周年を迎えた。同じ場所で営業を続けているジャズクラブとしては最も古く、日本を代表する店だ。しかし、オーナーの日野容子さんは、「半年間にわたって客がほとんど訪れない状況が続いている」と厳しい現状を打ち明ける。

 「緊急事態宣言が出た4月と5月は店を閉めました。6月中旬に休業要請が解除された後は、50ほどあった客席を半分以下にして、トイレはお客さんにティッシュを使ってドアノブを開けてもらうなど、感染対策を徹底しています。それでもお客さんは1日に10人も入りません。家賃と従業員の給料は毎月出て行きますから、すでに数百万円を持ち出しました。このままこの状況が続いた場合、12月まで店が持つのだろうかと恐ろしい感じがしています」

 日野さんが強い危機感を持ったのは、緊急事態宣言が出て閉店していた4月や5月よりも、8月に入ってからだという。営業を再開できるようになっても、飲酒を伴う業態に対して東京都が午後10時までの営業を要請している中では、客足は回復しなかった。

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老舗ジャズクラブ「alfie」のオーナー、日野容子さん

 「alfie」は通常営業をしていた頃は午後8時に開店して、深夜2時頃まで開けていた。現在は、開店時間を午後6時頃に早めている。しかし、午後10時までの営業では、ミュージシャンのライブが終わればすぐに閉めなければならない。「お客さんが飲みたいといってもお断りしなければならなくて、商売になりません」と日野さんは嘆く。

 さらに午後10時までの営業短縮要請は、東京23区内の酒類の提供を行う飲食店に対しては9月15日まで続けられた。

 「午後10時までの営業がこれ以上続いたら、もうダメだと思いました。六本木の他のお店も同じ状況ではないでしょうか。要請が解除されて、ようやくお客さんが少しだけ戻り始めましたが、まだまだですね」

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トイレはお客にティッシュを使ってドアノブを開けてもらうなど、感染対策を徹底していた
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老舗ジャズクラブ「alfie」の店内
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マイルス・デイヴィス
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席にも仕切りを設置していた
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