みずほFG「週休4日制」でサラリーマンに強いられる真の変化とは:“いま”が分かるビジネス塾(2/3 ページ)
みずほFGが週休3・4日制導入を決定。多様な働き方ができる反面、基本給低下も。ビジネスパーソンはどんな変化を強いられるのか。
実質的なワークシェアリングに
みずほはグループ全体で1万9000人の人員削減を目指しているが、自然減や希望退職など、強制を伴わないやり方ではかなりの時間がかかる(同社は2026年度を人員削減のメドにしている)。だが、この間に週休4日を選択する社員が増えれば、その分だけ人件費を削減できる。
この手法は将来的にも大きな意味を持つ可能性が高い。
政府は企業に対して70歳までの継続雇用を求めており、大企業は政府の方針に従わざるを得ない。60歳以降は再雇用という形で継続して仕事をする社員が多いと思われるが、企業側は高齢社員の年収は大幅に下げたいと考えている。
会社で必要とされる業務も減るという現実を考えると、この先、さらに人員過剰となるのは確実である。中高年社員の多くが週休4日に移行してくれれば、1つの仕事を複数人で分け合うことになるので、いわゆるワークシェアリングが実現する。
70歳までの継続雇用が定着した場合、総人件費がさらに増大するという問題が発生するが、ワークシェアリングはこれを解決する有力な切り札となるだろう。この形態が一般的になれば、収入を優先する人は副業を行うだろうし、経済的に余裕のある人はセミリタイアに近い生活を送ることもできる。企業側と労働者側、そして政府の3者が相互に妥協できるプランといってよい。
今回、導入する仕組みも、考え方によってはある種のセミリタイア制度とも解釈できる。本来、60歳から65歳が定年だが、これを50代まで引き下げ、年金がもらえる年齢までは週休4日という形で賃金を抑えつつ雇用を維持する。その間は、老後のキャリア形成に向けて勉強してもよいし、副業で収入アップを図ってもよい。
もちろん、この制度は前向きな話だけにとどまるわけではなく、使い方によってはリストラ制度にもなる。みずほではあくまで希望者を対象にするとしているが、この制度が一般的になった場合、制度の利用を社員に強制する会社が出てきても不思議ではない。これは一方的な賃下げであり、退職勧告とも解釈できるだろう。
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