みずほFG「週休4日制」でサラリーマンに強いられる真の変化とは:“いま”が分かるビジネス塾(3/3 ページ)
みずほFGが週休3・4日制導入を決定。多様な働き方ができる反面、基本給低下も。ビジネスパーソンはどんな変化を強いられるのか。
明確なキャリアプランを
結局のところ、働き方の多様化というのは、労働者側が相応のスキルを確保して、初めてその効果を発揮する。年功序列、新卒一括採用、終身雇用という、いわゆる日本型雇用の崩壊が進んでいる以上、制度を利用するしないにかかわらず、自身のキャリアは自身で形成しなければならない。
会社によって細かい仕組みはバラバラだが、退職金の算定において退職時の基本給をベースにするところは多い。週休を増やすことで基本給が安くなる場合、当然のことながら、退職金の金額にも影響してくる。また一部の期間であっても年収が下がる場合、生涯賃金も減るので、その分だけ年金受給額も少なくなるだろう。
これからの時代は、キャリアの前半と後半をしっかり分け、どの時期にどのような仕事をして、いくらの資産形成を目指すのか、明確な計画を立てることが重要となる。その上で、この制度が必要であれば利用すればよいし、あまり意味がないのであれば、安易には選択しない方がよい。
加谷珪一(かや けいいち/経済評論家)
仙台市生まれ。東北大学工学部原子核工学科卒業後、日経BP社に記者として入社。
野村證券グループの投資ファンド運用会社に転じ、企業評価や投資業務を担当。独立後は、中央省庁や政府系金融機関など対するコンサルティング業務に従事。現在は、経済、金融、ビジネス、ITなど多方面の分野で執筆活動を行っている。著書に「貧乏国ニッポン」(幻冬舎新書)、「億万長者への道は経済学に書いてある」(クロスメディア・パブリッシング)、「感じる経済学」(SBクリエイティブ)、「ポスト新産業革命」(CCCメディアハウス)などがある。
関連記事
- アベノミクス総括 経済成長しても生活は豊かにならなかった真の理由
菅内閣が誕生、筆者はアベノミクスを総括。経済成長したものの生活への好影響感じられず。真因にマクロ経済から迫る。 - コロナ禍転職不況、中でも「特に厳しい意外な人材」とは?――独自データで分析
コロナ禍で転職市場が悪化、急速に買い手市場に。中でも求人が特に激減している「人材の層」があるという。dodaの独自データから分析。 - 持ち家がもはや「冗談抜きで困難な夢」になったこれだけの理由
いまだに根強いとされる日本人の持ち家志向。しかし筆者は「冗談抜きで困難」になったと指摘。印象論でなくデータから導き出される実態とは? - 「何でもスクショ」な若者と「いつでも電話」中高年の意外な共通点――日本特有の“使えない人材”とは
「何でもスクショを飛ばして済ます」若者が話題に。ただ根底の問題は「いつでも電話」してしまう中高年と一緒と筆者は指摘。日本企業の人材、ひいてはマーケティングに横たわる課題とは? - お盆の県またいだ移動、コロナ禍で前年比3割減――東北・沖縄への流入激減
コロナ渦でお盆期間の県またいだ人の移動が減少。流入人口は全国平均で3割弱減少。KDDIが調査。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.