キリン「氷結」に“甘くない”新商品 「無糖レモン」でビール類ユーザーの獲得狙う:アルコール度数は7%と4%
キリンビールは10月20日、缶チューハイのブランド「氷結」の新商品「無糖レモン」を発売する。糖類や甘味料を使用せず「甘くない」味わいに仕上げ、これまでチューハイをあまり飲まなかったビール類のユーザーを取り込む。
キリンビールは10月20日、缶チューハイのブランド「氷結」の新商品「無糖レモン」を発売する。糖類や甘味料を使用せず「甘くない」味わいに仕上げ、これまでチューハイをあまり飲まなかったビール類のユーザーを取り込む。アルコール度数は7%と4%の2種類を用意。幅広い需要の獲得を狙う。
缶チューハイなど、開封してすぐ飲めるRTD(Ready To Drink)商品の市場は12年連続で拡大を続けている。同社マーケティング部 RTDカテゴリー戦略担当の間木研吾氏は、10月15日にオンラインで開催した新商品発表会で、その理由について「他のお酒のカテゴリー、特にビール類からの流入が大きい」と説明した。
そして、10月の酒税改正で新ジャンル(第3のビール)が増税になったことも影響し、ビール類からの流入は加速すると見ている。そういった環境で発売する新商品には、「ビール類のユーザーも満足させることが必要」(間木氏)だと考え、今回の新商品開発に至ったという。
普段、主にビール類を飲む人にとって、チューハイのイメージとは何か。間木氏は「最大のトライアルバリアは『甘さ』だ」と話す。チューハイは甘くて食事に合わない、などといったイメージが障壁になっている。一方、チューハイに期待することを調査すると、「甘くない」に加えて「果実の味わいを楽しめる」という回答も上位に入った。その傾向は特にレモンフレーバーのチューハイで強く、「甘さはいらないが、レモンの果実味はほしい」というニーズへの対応が求められることが分かった。
そういった需要に応えようと開発したのが「無糖レモン」のフレーバーだ。「糖類・甘味料不使用で甘くなく、レモンの爽快な味わいが楽しめる」商品として、ビール類ユーザーもさまざまなシーンで飲みやすい味わいに仕上げた。甘さがないため、食事にも合わせやすい。開発担当者は、唐揚げなどの食事との食べ合わせを確認しながら開発を進めたという。
アルコール度数を7%と4%の2種類設定したのは、幅広い飲用シーンに対応するため。お酒をしっかり味わいたいときには7%、すっきりと果実感を楽しみたいときには4%を選べるようにしている。7%はクセのないウオッカにレモンを一搾りしたような爽快感があり、4%は居酒屋で飲むシンプルなレモンサワーのような果実感が楽しめるという。
近年、レモンサワーやレモンチューハイの人気があらためて高まっており、RTD市場でも各社からヒット商品が発売されている。その中には、甘くない無糖の商品もある。氷結というメガブランドの強みを生かして「甘くない」チューハイを提案し、新しい顧客層を取り込むきっかけにしたい考えだ。
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