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MX-30にだまされるな池田直渡「週刊モータージャーナル」(3/6 ページ)

マツダの電動化の嚆矢(こうし)となるMX-30をどう見るか? このクルマのキャラクターをつかもうと思うのであれば、変化球モデルだと思わない、スポーツ系モデルだと思わない、ついでにフリースタイルドアのことも電動化のことも全部忘れる。そうやって全部の先入観を排除して、普通のCセグのSUVだと思って乗ってみてほしい。その素直で真面目な出来にびっくりするだろう。

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第7世代マツダ車の中で白眉の車内空間

 ドライバーに与えられる空間は、最近のクルマ、ことに第7世代マツダ車の中では白眉だ。「魂動デザインのスタイリッシュさでマツダのブランドイメージを差別化する」。そういう戦略の中で、これまでのマツダ車はリソースの振り分けをデザイン側に大きく配分してきた。

 その結果、最も犠牲になってきたのは車内空間の部分だ。Mazda3のデビュー時にも、Aピラーとドライバーの目の位置との関係に圧迫感があり、空間デザインの中でベストな頭の位置と、物理的なシート合わせのベストの位置にリクライニング角でワンノッチ分のズレを感じたし、それは記事にも書いた(「マツダの新型アクセラ、失敗できない世界戦略」参照)

 CX-30では、Mazda3ほどしわ寄せを感じなかったが、MX-30のデザインで、真に健康な空間設計の手応えを感じた。デザインと空間のリソースの奪い合いにおいて、マツダのCセグメントの基礎となるMazda3が最もデザイン寄りで、次いでCX-30、空間側に最も寄せたのがスペシャリティ寄りのMX-30というイメージの逆転が起きている。


テキスタイルの印象がさらりとしていて感触の良いシート。内装にはペットボトルのリサイクル材や、ワイン栓の端材であるコルクなど、環境負荷の低い素材を多く使う

 ついでにいえば後席の頭上空間もこのクラスとしては相当に余裕がある。握り拳ひとつが悠々と入るし、リヤシートそのものの出来もとても良い。ボルスターと呼ばれるヘリの出っ張りで体を押さえてるわけでもないのに、旋回時の横Gをしっかり支えるサポート感があるし、それ以前に座面による体重の受け止めがしっかりできている。後席の問題を挙げるとすれば、構造的に小さくせざるを得なかったサイドウインドーによる閉塞感。加えて窓が一切開かないことだ。

 このリヤサイドの窓の影響は運転時の斜め後方視界でもハンデとなる。合流の斜め後方視界については相当に苦しい。長期的にはブラインドスポットモニターの類で解決が図られていくのだと思うが、現時点では直接の目視ができないことはやはり少しハンデとなるだろう。

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