出前館、コロナ禍で増収も41億円の最終赤字 激化するフードデリバリーの覇権争い:新規参入が続々(1/3 ページ)
出前館の2020年8月期の連結決算、先行投資が膨らみ純利益は41億1200万円の赤字となった。また新たな中期経営計画を発表。22年中に加盟店舗数を10万店舗まで拡大を目指し、最終年度の23年8月期には連結売上高970億円、営業利益120億円の黒字を目指す。
フードデリバリー大手の出前館は10月15日、2020年8月期の連結決算を発表。売上高は前期比54.6%増の103億600万円となった。一方、シェア拡大に向けた広告展開やシステム投資などの先行投資が膨らみ、営業利益は26億2300万円の赤字。純利益は41億1200万円の赤字(前期は1億300万円の赤字)となった。最終赤字は2期連続。
新型コロナウイルス感染拡大の影響で、外食を控えデリバリーサービスを利用する人が増えたことから、出前館の8月末時点での利用者数は前期比31%増の約392万人。加盟店舗数は約3万3000店(同65%増)で、オーダー数は約3707万件(同31%増)と大幅に増加。セグメント売上高は約93億円(同73.8%増)となった。
また同社は、23年8月期までの中期経営計画を発表。営業体制の強化を図り、22年中に加盟店舗数を10万店舗まで拡大。また、業務提携しているLINEとのID連携を通じた会員基盤の活用、位置情報を基にした誘導などを行い、ユーザー数の拡大にも力を入れる。
他社との差別化を図るため、配達時間の正確さや、スタッフの身だしなみの徹底など、配達品質の向上を目指す。また、人口カバー率を現在の30%から50%以上に引き上げ、飲食店から宅配を請け負うシェアリングデリバリーエリアも拡大させる方針だ。
営業利益は22年8月期まで赤字が続くと見込むが、最終年度の23年8月期には連結売上高970億円、営業利益120億円の黒字をめざす。
また、LINEとの連携強化などを目的に、12月1日付で大阪市から、東京都渋谷区のLINEオフィスの一画に移転すると発表。20年近く経営に関わってきた中村利江会長は11月26日の定時株主総会終了後に退任することを明らかにした。
事業拡大に向け大規模な投資を行う同社。しかし、国内のフードデリバリー業界の構図はいつ変わってもおかしくない。ここ数カ月でさまざまな企業が参入。ユーザー獲得に向け力を入れている。
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