「存在意義がなくなる」と不安、社内のデジタル化を阻むヒトたち 不安を解くには?:連載・デジタル時代の人材マネジメント(1/4 ページ)
伝統的な日本企業がデジタル化を進めるには、2つの大きな課題に向き合わなければならない。どんな課題かというと……?
まだ成果が出ないデジタルトランスフォーメーション
デジタル時代の競争をリードするいわゆるグローバルプラットフォーマーは、質の高い顧客体験を設計するために、デジタルによって得られたビッグデータを活用してサービスの改善・拡張を速いスピードで押し進めている。そして製品やUI(ユーザーインタフェース)だけでなく、ITプラットフォームやデータを精緻にデザインし、高度なテクノロジーと組み合わせることで、競争力の高いビジネスモデルを構築している。
これまで日本の産業が世界をリードしてきた主な分野は、ハードウェア・エレクトロニクスの組み合わせ領域が中心であった。一方で、デジタルテクノロジーによって産業界における世界の主戦場は第4次産業革命以降のソフトウェア・ネットワーク・サービス・データ・AI の組み合わせ領域に急速にシフトしている。
多くの日本企業においては、経営者がデジタル化の必要性を認識し、AI、IoT、ビッグデータといったデジタルテクノロジーを駆使したビジネスの変革、いわゆるデジタルトランスフォーメーションを進めようとしている。
例えば、創業以来、伝統的なモノづくりを続けてきた企業が、自らを「デジタルソリューションカンパニー」「○○サービスカンパニー」と再定義し、ビジネスモデルの転換や大胆な業務プロセス改革を目指し、デジタル推進部門を設置するといった取り組みである。
しかしながらそういった状況において、特に国内大企業においてはまだデジタル化による成果はまだ緒に就いたともいえない状況である。
日本情報システム・ユーザー協会(JUAS)と野村総合研究所(NRI)によれば、最も解決したい課題に対して、デジタルを活用した取り組みを実施したと回答する企業が増え、少しずつ成果が出始めているものの、その割合はまだ10%程度にすぎない(図表1)。
デジタル化を阻む組織とヒト
デジタル化を経営や事業全体に展開していく上で、伝統的な国内企業内では2つの大きな課題に向き合わなければならない。
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