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シャープが家電メーカーからソリューションカンパニーへ  「家電のビッグデータ活用」を事業部長に聞くGAFAを敵と見るか、パートナーと見るか(2/3 ページ)

シャープの調理家電を統括する奥田哲也事業部長に、成長著しい調理家電市場のデータ活用方法についてインタビューした。

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いかにしてGAFAに対抗するか

――海外ではGAFAと呼ばれるITジャイアント企業がデータなどを駆使してビジネスの主導権を握っている。GAFAがもし調理家電の市場に本気で参入してきた場合の対応策はあるのか。

 危機感は持っているが、彼らを敵と見るか、パートナーとみるか、だと考えている。日本では他社が圧力鍋を出してきている一方、わが社はIoT(モノのインターネット)を使ったレシピサービス「COCORO KITCHEN」により新しいメニューをどんどん増やし、自動調理ができる機能を持っていて、頭一つ抜けている。

 さらにオンラインでユーザー同士が情報交換をできる公式ファンコミュニティー「ホットクック部」を立ち上げたところ、1カ月で3000人以上のファンがついているのも強みだ。ホットクック部発の新しいメニューや使い方も広がっている。異業種やスタートアップ企業なども含めて連携していけば、今後はより新しい価値を提案できると考えている。

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シャープはレシピサービス「COCORO KITCHEN」により、新しいメニューを増やして自動調理ができる機能を持っている(「COCORO KITCHEN」のWebサイトより)

――今後の方向性は。何を目指していくのか。

 シャープは家電機器メーカーではあるが、単に機器だけを作って終わりというわけにはいかない。当社はネットにつながる「AIoT家電」としてホットクック・ヘルシオだけでなく冷蔵庫、洗濯機、テレビも含めて利用者が家電をどう使っているかについてのビッグデータを世界で一番多く持っている。「AIoT」とは、AI(人工知能)とIoTを組み合わせ、あらゆるものをクラウドの人工知能とつなぎ、人に寄り添う存在に変えていくという当社のビジョンだ。

 こうしたデータを活用してビジネスを展開していかなければならない。現在も、ホットクックやヘルシオで得られたデータを活用して、調味料とカット済み食材をセットにして宅配するサービス「ヘルシオデリ」のビジネスを展開している。さらに、ホットクックなどの商品を核として、調理家電だけでなく、食材の提供、レシピデータ、さらには包丁の使い方や皿への盛り付け方のノウハウなどを含む食のトータルソリューションとして、顧客に何が提供できるかを考えていきたい。

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調味料とカット済み食材をセットにして宅配するサービス「ヘルシオデリ」のWebサイト

――データはどのように活用する方針なのか。

 ネットにつながる家電が出しているデータを、11カテゴリー、440機種以上蓄積している。そんなメーカーはシャープのほかにはないのではないか。シャープの家電製品は平均5割程度(白物とテレビ含む)、中でもホットクックは7割がネットにつながっており、時系列での利用状況、今、どこで、何の料理を作っているかまで把握ができる。

 ホットクックは夕飯用に多く使われると思っていた。だが、データを分析すると意外にも朝食用として予想以上に使われていることが判明した。データを分析することで、機器だけ売っていては分からなかった驚きの事実が判明する。

 集まってきたビッグデータを使って具体的に何ができるかがこれからの重要課題だ。いまは点でしかないデータを異業種の企業などと連携することによって、大きなビジネスにつなげていきたい。

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「集まってきたビッグデータを使って具体的に何ができるかがこれからの重要課題だ」と話す奥田事業部長

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