インタビュー
シャープが家電メーカーからソリューションカンパニーへ 「家電のビッグデータ活用」を事業部長に聞く:GAFAを敵と見るか、パートナーと見るか(3/3 ページ)
シャープの調理家電を統括する奥田哲也事業部長に、成長著しい調理家電市場のデータ活用方法についてインタビューした。
連携のための子会社「AIoTクラウド」設立
――異業種の他社などと連携するための具体策は。
2019年10月、他社や異業種と連携を進めるため、社内でネットワークのプラットフォームを開発していた部署を分社化して「AIoTクラウド」という子会社を立ち上げた。この会社は蓄積したデータを他社と連携して活用し、新たなサービスを創出するのが目的だ。シャープ製品による囲い込みは考えておらず、できるだけ幅広い分野の企業と連携することを目指している。
時代が変わりつつある今、調理機器周辺のソリューションも含めて全体の問題解決の手段を提供できるよう模索していきたい。
ビッグデータ活用してビッグビジネスを生み出せるか
以上が奥田事業部長へのインタビュー内容だ。1962年に日本で初めて電子レンジを量産したのはシャープだった。2016年に経営難で台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業に傘下入りし、人員削減など厳しい経営を迫られた。その後、調理家電を開発しようというDNAは社内に引き継がれ、調理レシピなどのノウハウは蓄積されてきた。それが今回はヘルシオシリーズとして開花した。
今後は貴重な家電利用についてのビッグデータをほかの分野にいかに利活用できるかが、シャープの行方を占いそうな予感がした。
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