セブンの「ステルス値上げ」を疑う人が、後を絶たない理由:スピン経済の歩き方(5/6 ページ)
消費者が知らない間に、こっそりと量を減らして価格は据え置き――。セブン-イレブンが「ステルス値上げ」をしているのではないかと叩かれている。なぜ、このように疑われているのか。筆者の窪田氏は、このように分析していて……。
このような問題を解決するには、FCオーナーやバイトから搾取するようなビジネスモデルを変えていくしかない。消費者が喜ぶ「低価格高品質」を維持するため、前線に立つ弱い立場の者たちに自己犠牲を強いる、という旧日本軍のようなマネジメントをあらためるのだ。
そうなれば当然、「手ごろな価格」の見直しは避けられないし、街中にボコボコ乱立する店舗も減らすしかない。商圏内の店舗数と24時間営業という「量」ではなく、「質」で勝つスタイルに変えることは容易なことではないだろう。
ただ、それをしない限りコンビニのステルス値上げは、これからさらに進行していく。「食品新聞」によれば、4月から7月までのコンビニ来店客数が約15〜20%減少したことを受けて、おにぎりが売れておらず、その影響で国内コンビニ向けが全需要の35%を占める海苔業界も大打撃を受けているという。
この厳しい時代はまだ続く。高齢化対応や健康志向の名のもとに、お値段据え置きで、おにぎりや惣菜パンの具がスカスカ、おでんやフランクフルトなどもしれっと小さくなっていくかもしれない。なぜそんなことが言えるのかというと、既に社会インフラでお値段据え置きでサービスを低下させる、「実質値上げ」が進行しているからだ。
郵便料金は変わっていないが、配達日が減るので荷物や郵便が届くスピードが落ちていく。また、電車の運賃は変わらないが、終電が早まって運行本数は少なくなる。自治体でも税金は下がらないのに、行政サービスの窓口や公共交通機関の本数は減っていく。
ならば、コンビニという社会インフラを現状維持するには、これらと同じく「お値段据え置きでサービス低下」の方向に進むしかないのは自明の理だ。まだ実感している人も少ないかもしれないが、われわれ日本人はもはや「縮小する経済」のど真ん中で生きているのだ。
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