コロナ禍で乾麺・袋麺が“バカ売れ” 伏線は、朝ドラの「まんぷく」にあった:長浜淳之介のトレンドアンテナ(6/6 ページ)
これまでカップ麺に押されていた乾麺・袋麺が、コロナ禍の影響で売れている。在宅勤務の普及などが原因だが、NHK連続テレビ小説「まんぷく」も影響していると筆者は指摘する。その理由は?
簡易調理器具の発達
袋麺や乾麺の需要が伸びている背景には、電子レンジで手軽に調理できる簡易調理器具の発達もある。
スーパーや100円ショップで気軽に購入できるので、重宝されていたが、存在を知らない人もいた。しかし、新型コロナの流行で見直された。
キッチン用品などを製造販売するスケーター(奈良市)では、「即席ラーメンメーカー」の売り上げが、2月くらいから前年よりも1〜2割伸びている。
もう10年以上前から同様の商品を提案しているが、コロナ禍で便利さが再認識された。麺と水を容器に入れて、電子レンジで5〜7分(お湯なら約3分)程度で調理できる。野菜やチャーシュー、メンマなどの具材も一緒に調理できるので、簡便性が高い。
しかも、容器がそのまま食器になるので、洗いものも少なくて済む。水切りも付いているので、焼きそばの袋麺も調理可能だ。
長方形の「ゆでパスタ調理ケース」も好調だ。スパゲティの麺と水を入れると、電子レンジで7分ほどでゆで上がる。長細い乾麺ならば、蕎麦やうどんにも応用できる。
このように、袋麺や乾麺はコロナ禍での保存食として注目され、在宅勤務やテレワークが一定程度定着していく流れの中で、需要拡大が見込まれる。お店の味に近づけた商品と、高度な調理用具材や調理器具が考案されていくと共に、アウトドアなどにも用途が広がっていくだろう。
著者プロフィール
長浜淳之介(ながはま・じゅんのすけ)
兵庫県出身。同志社大学法学部卒業。業界紙記者、ビジネス雑誌編集者を経て、角川春樹事務所編集者より1997年にフリーとなる。ビジネス、IT、飲食、流通、歴史、街歩き、サブカルなど多彩な方面で、執筆、編集を行っている。共著に『図解ICタグビジネスのすべて』(日本能率協会マネジメントセンター)など。
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