【独自】ワタミ「ブラック企業に逆戻り」騒動 内部取材で明らかになった、衝撃のウラ話を暴露する:告発された「パワハラ」の実態(5/10 ページ)
「ワタミの宅食」で起こった残業代未払い問題。それだけでなく資料改ざんやパワハラなど、「やっぱりワタミはまだブラックだったのか?」と思わせるような実情が告発された。本当にワタミはブラック企業へ回帰したのか。内部取材を敢行すると、思わぬ事情が見えてきた。
社員ごとに不公平な対応やパワハラ的な言動も
異動前から在籍していた古参スタッフには厳しくルールを押し付ける一方で、Aさん自身が採用したスタッフについては締切を過ぎてもキャンセルを許可するなど、不公平な扱いがみられたという。
また、自分の気に入らない人がいれば、ベテランでも関係なしに辞めさせることもあった。「あなたがいると悪影響を与える」がAさんの口癖だったとあるスタッフは話す。常に高圧的な態度で、「自分の言うことを聞かない人は許しておけない」という感じだったという。何かあれば外に呼び出されて「どうするんですか!?」と強い調子で詰問されることもあった。
スタッフに対しては「裏紙を使え」「カラーコピーは経費がかさむ」などと命じておきながら、自身はカラーコピーをバンバン使って資料作成していたこともあった。こうしたAさんの態度を受けて現場は萎縮し「何を言っても、言った者がばかを見るから言わないでおこう」というのが皆の共通の思いだったという。
「公開処刑」的なメールも
筆者が手に入れた資料の中には「まごころさん(注:宅配スタッフのこと)が足りないからといって遠慮せず、辞めたい人は辞めてもらって大丈夫」という趣旨のメールを一斉送信した記録も残っている。
さらに、スタッフにミスがあった際、個別に指摘するのではなく、そのミスをあげつらうようなメールを、全スタッフが閲覧できる一斉メールで送信することもあった。あるスタッフは「仕事中も土日もメールが多い。ドキッとする内容も多く見るのが大変」と証言している。
ちなみに厚生労働省の定義によると、職場のコミュニケーションにおいて「(1)優越的な関係を背景とし」「(2)業務上必要かつ相当な範囲を超え」「(3)労働者の就業環境が害される」という3条件を全て満たす言動はパワハラとされる。上記のようなAさんの言動や行動の多くはパワハラだといえよう。
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