社員に「何か手伝うことはないですか?」と言わせる会社が時代に合わなくなっていくと思える、これだけの理由:「脱・職場第一主義」時代のニューノーマルに備えよ(1/4 ページ)
若手社員にありがちな、定時後の「何かやることありますか?」という伺い立て。日本企業は個々の役割分担があいまいだからこそ、こうした「職場第一主義」的ななりふりが求められてきた。しかし、時代の変化によって、こうした職場第一主義から抜け出す必要が生じてきている。
厚生労働省の毎月勤労統計調査によると、残業代などを示す6月の所定外給与が前年同月比で24.6%減少しました。コロナ禍の影響で、残業時間にあたる所定外労働時間が同23.9%減っていることが如実に給与にも影響しているようです。
一般に、労働時間が少なくなれば給与も減るというのは当たり前のことと認識されています。それは、これまでの報酬の在り方が職場での拘束時間に対して支払われてきたことが背景にあります。
社会に出て働くことを就職といいますが、日本においては就職よりも“就社”と言い換えた方が実態に近い面があります。社風に合う新卒を採用し、ジョブローテーションでさまざまな職務を経験させながら、年次が上がるとともに管理職に引き上げていくシステムが会社ごとに構築されています。
一方、就社した社員は職場に拘束されている間、臨機応変に必要な職務をこなします。主な担当職務は分かれているものの、職場に拘束されることがベースになっているため、全ての職務に自分が携わる可能性を残しています。
業務を厳密に個人ごとに担当するのではなく、ざっくりと振り分けて、日々生じる繁閑差やイレギュラー対応による業務の凸凹が発生した場合は職場全体でカバーします。また、職場に拘束されている社員は融通を利かせやすい労働力であり、そのため業務量に幅を持たせやすく、一人当たりが多めに業務を受け持つことにもなりがちです。結果、慢性的に残業ありきの体質になっているケースが多いように思います。
そんな体質は、業務運営する側から見て合理的だといえる面がありますが、働き手としては自分の仕事の終わりを自分で決めづらいという状況を生み出します。自分の主な担当業務が終わったので定時で帰宅しようとすると、残業している他社員に対して引け目を感じてしまうので「何か手伝うことはないですか?」と上司や周囲に声がけし、帰っていいよという了解を得られてはじめて、心置きなく帰宅することができるという雰囲気が生まれます。つまり、自分の一日の仕事の終わりを自分自身で決めづらいということです。
一方、就社という形にもメリットはあります。
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