なぜ? “完全キャッシュレス民”の実態とは
現金大国といわれる日本だが、昨今のキャッシュレス推進策により、キャッシュレス決済は急速に普及を始めている。「まねーぶ」が10月に行った調査によると、キャッシュレス決済を利用したことがある人は96%、うち7.5%は現金利用一切なしの「完全キャッシュレス」だった。
現金大国といわれる日本だが、昨今のキャッシュレス推進策により、キャッシュレス決済は急速に普及を始めている。GV(東京都港区)が運営する「まねーぶ」が10月に行った調査によると、キャッシュレス決済を利用したことがある人は96%、うち7.5%は現金利用一切なしの「完全キャッシュレス」だった。
なぜ完全キャッシュレスに移行したのか。回答によると、ポイントが貯まることが大きな理由のようだ。「お得にポイントが貯まり、現金を持ち運ぶわずらわしさからも解放され、今では財布を持たずに出かける日もあります」(21歳男性 大学生)
会計のスピードが早くなり、財布をカードケースに切り替えたため紛失が減るなどのメリットもあるが、利用できる店舗が限られるなどのデメリットもある。「バーコード決済やおサイフケータイを使う際はスマホの通信速度が遅いとすぐに画面を開けられないことがあり、スマホの充電が少ない時も不安になります」(34歳女性 事務)
また、割り勘や集金などでは、代表してカード決済して立て替えたり、後に相手の銀行口座に振り込んだりするなど、手間がかかっているようだ。
完全キャッシュレス決済の人たちの多くがメリットとして挙げるのは、家計管理が容易になることだ。現金派の人たちはキャッシュレスだと使いすぎてしまうことを懸念するが、逆にレシートがなくても利用明細が見られるため、管理しやすいという。
「私も完全キャッシュレス化したときについついお金を使いすぎてしまい悩みましたが、今は家計簿アプリを使って管理をしています。使いすぎが心配な場合は事前にチャージして使える限度額がある決済方法にすると安心です」(34歳女性 事務)
これらの回答に対して、消費経済ジャーナリストの松崎のり子氏は、企業側も省人化、合理化、非接触化が急務で、これからますますキャッシュレスのみに対応の完全無人レジなどが増えていくと予想する。また、お得度が普及のカギになると見る。「決済事業者側は高い還元率の魅力的なキャンペーンを打ち出して、利用者の囲い込みを強化している。ポイント=通貨の時代が到来し、現金派の人との差が開くことにもなりそうだ」(松崎氏)
関連記事
- なぜ? デジタル世代で「キャッシュレスより現金」が多数派 人気のキャッシュレス決済も判明
SHIBUYA109エンタテイメントが若者の決済動向に関する調査結果を発表した。意外にも、デジタル世代で現金派が多いことが明らかになっている。いったいなぜなのだろうか。若者に人気のキャッシュレス決済も明らかになった。 - 政府の”キャッシュレス推進”ウラの狙い 改善したい“不名誉すぎる”実態とは?
消費税増税からまもなく1カ月を迎え、キャッシュレスへの関心の高まりが顕在化してきた。政府が”身銭を切って”までキャッシュレス決済を推進するのは、異例とも思われる措置だ。その背景を理解するには、巷(ちまた)で言及されているような「インバウンド需要」や「脱税防止」以外にも押さえておかなければならない重要なポイントがある。それは、アンチ・マネーロンダリングだ。 - キャッシュレス決済のサポート格付け 唯一の三つ星はPayPay
Webでのサポート格付けで唯一の三つ星となったのはPayPayだった。「キャッシュレス業界は、2019年全業界平均と比べて、『見つけやすく使いやすい』の評価項目以外はすべて低い結果」 - 富士山にもキャッシュレス化の波 入山料支払いを促進へ
令和になって初めての山開きを迎えた富士山は、同日、保全協力金、いわゆる入山料の支払いがキャッシュレスに対応した。外国人登山客などに、多様な支払い方法を提供し、現在5割の支払い率を7割まで上げる目標だ。 - 「現金派」は意外にも20代 年代で違うキャッシュレス意向
飲食店での支払いで、キャッシュレス派が現金派を上回った。しかし20代に限ると現金派が優勢。20代でクレジットカード利用が進んでいないことが影響か。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.