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コロナ禍に人気を集めた「ぼっちてんと」、開発秘話に迫るあの会社のこの商品(2/5 ページ)

新型コロナの感染拡大を受けて、テレワークを導入する企業が増えた。いきなり自宅で仕事をする人が増えたわけだが、そこで注目されているのが「ぼっちてんと」だ。商品の特徴は……。

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机をテントで囲ったら、黙々と仕事に打ち込めた

 ビーズは「Bauhutte」だけでなく、バイク用品ブランド「DOPPELGANGER(ドッペルギャンガー)」、アウトドア用品ブランド「DOD(ディーオーディー)」なども展開している。「ぼっちてんと」は13年に企画された。きっかけは開発を担当したBauhutte Dept.ブランドマネージャー、川瀬隼利氏がキャンプ用品のテント開発を担当することになったからであった。

 「当時、キャンプ用品の商品企画やブランディングを担当していたのですが、実はキャンプをしたことがなく、勘に頼って商品をつくっていたところがありました」


鍵が同梱されており、テント内から施錠することもできる

 このように当時を振り返る川瀬氏。しかしテントは勘ではできないことから、サンプルをつくり検証。自分の机を囲うようにテントを張ってみたところ、使い心地がいいことに気付く。「隣や正面にいる社員の顔がよく見え、仕事中に上司から声を掛けられることが好きではなかった」と言う川瀬氏にとって、テントの中は快適な空間。仕事に集中できる上に、気軽に話しかけてこられなくなったので、黙々と仕事に打ち込むことができた。

 美観を損ねるという理由から、テントは約1カ月後に撤去される。しかし、一度でもそのテントに入った社員からは「ここから出たくない」という声も。屋内で簡単に個室空間ができるテントは「イケる」と思われ、商品化を進めることになった。


出入り口と窓は閉じ、天井だけを開けた状態。開口部がかなり大きいことから、明るい室内で使うのであればこれだけで十分明るい

出入り口、天井、窓のすべてを閉じた状態。窓側に面した机を囲んだので、正面からテント内に光が差し込んでいるが、正面が壁であればほぼ真っ暗な状態になるだろう

 折りたためるようにしたのは、ポップアップテントをベースにしたため。「室内で使うものなので、高いスペックは不要です。というわけで、テントの中で一番スペックが低いポップアップテントにしました」(川瀬氏)

 開発にあたって課題になったのは、出入り口になる部分のファスナーの開き方であった。ポップアップテントは張力で自立することから、ファスナーの開き方によっては張力が落ち自立が危うくなることも。開け方についてはいろいろ検討したが、最終的には一般的なアルファベットのDを描くような開き方を採用した。

 また、閉め切ってしまうと暑いことから、メッシュの窓を設けたり、天井をファスナーで開閉できるようにしたりして、通気性を確保。窓の位置は高すぎると顔が見えてしまいプライバシーが確保できないことから、顔が見えないやや低めの位置に設けることにした。


イスから見た横の窓。目線より低い位置に設けたので、開けていてもプライバシーはかなり確保できる

四隅にはケーブルホールが。ケーブル類を整理しスッキリすることができる

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