トヨタ、期初予想「営業益5000億円」を半期で達成 豊田社長が語った“スピード回復”の理由:回復基調が鮮明に(2/2 ページ)
トヨタ自動車が新型コロナウイルス感染拡大の影響から回復を始めている。2021年3月期の連結業績予想を上方修正。営業収益は26兆円、純利益は1兆4200億円とした。業績回復の理由について豊田章男社長が語ったこととは……
リーマンショック時よりも回復は早い
トヨタの決算説明会は例年、社長が登壇するのは本決算のみ。今回、中間決算の説明会に出席した理由について、豊田社長は「コロナ危機という有事であるから」と話した。そして、「特に有事のときは雇用を守り、利益を出して、税金を納めるのが責任。自動車産業は経済への波及効果が大きい。また、前を向いて頑張っている関係者への感謝と、この後の3Q、4Qも頑張っていく決意を伝えたかった」と説明した。
期初の想定よりも業績の回復が早く、業績予想を大幅に上方修正できたことについては、「11年間の取り組みによって、企業として強くなってきた」と話す。11年前に何があったかというと、リーマンショックだ。当時の打撃は甚大で、09年3月期は赤字に転落。回復には時間を要した。
リーマンショック時と今回のコロナ危機の回復スピードを比較するために豊田社長が示したのは、販売の落ち込みが最も大きい月から5カ月間の販売台数の前年比。リーマンショック時は前年比76%で、市場全体を4ポイント下回っていた。今回は前年比80%で、市場を3ポイント上回る回復を遂げているという。
「リーマンショックや東日本大震災、円高など、いろいろなことがあったが、少しずつ取り組みを積み上げてきた結果だ」と豊田社長は強調する。“積み上げてきた”という言葉が示すのは、リーマンショック時と比べて資金が潤沢になったことだけでなく、「働く人たちが強くなった」こと。それが企業としての強さに表れているという。
それは、同社が注力してきた原価低減活動が浸透してきたことだけにとどまらない。今回のコロナ危機では、工場の生産性向上や販売現場のオンライン活用などの取り組みによって「1台1台を積み上げるために生産も販売も必死になって仕事をした」(豊田社長)。さらに、工場を活用してマスクやフェイスシールドを製造するなど、社会の危機を乗り越えるために企業としてできることも行っている。
豊田社長は「自動車産業の回復スピードは早く、日本経済に良い影響を与えられているのでは。トヨタの数字は(従業員や取引先など)多くの人の頑張りに支えられた結果だ」と語った。国内外を問わず、新型コロナの感染状況は先行き不透明だが、商品力や生産性の向上、将来を見据えた研究開発など、着実に事業を進められる体制を整えていたことが、業績回復につながっているようだ。
関連記事
- トヨタが販売台数の“前提”を発表 21年3月期は2割減、年明けの回復を想定
トヨタ自動車は、2021年3月期の連結販売台数の見通しを前期比21.9%減の700万台とする“前提”を発表。市場の動向を予想することは困難になっており、地域別の販売台数計画の公表は見送った。 - 9月新車販売、トップは「ヤリス」 「N-BOX」を上回る
9月の国内新車販売台数は、軽自動車を含めた全体のトップがトヨタ自動車の小型車「ヤリス」だった。ホンダの軽自動車「N-BOX」を上回り、唯一2万台を超えた。2位がN-BOX、3位はスズキ「スペーシア」だった。 - トヨタ、新型「ヤリス」2020年2月に発売 「ヴィッツ」から一新へ
トヨタ自動車は2020年2月、小型車の新型「ヤリス」を発売する。日本では「ヴィッツ」として販売してきたが、名称をグローバルで統一。新たなコンパクトカーとして発信する。 - トヨタ、新型「RAV4」発売 3年ぶり復活、国内SUV需要取り込む
トヨタ自動車は新型「RAV4」を発売。日本市場での販売は3年ぶり。米国で成功している主力車種を再投入し、SUV需要の取り込みを狙う。 - 「うらやましい」友人の勤め先は? トヨタが3位、鉄道・航空の羨望度は低下
リスクモンスターの調査によると、知人や友人の勤め先を「うらやましいと感じる」と回答した人は35.2%。うらやましいと思う企業名は、1位と2位が地方公務員と国家公務員。トヨタ自動車が3位に入った。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.