ビットコインが「このタイミングで」再高騰した真の理由:“いま”が分かるビジネス塾(1/3 ページ)
仮想通貨・ビットコインの価格が再び上昇。なぜこのタイミングで高騰しているのか。その本来的な価値から筆者が考察。
仮想通貨(暗号資産)ビットコインの価格が再び上昇している。11月に入って一時、1ビットコイン=160万円を超え、2017年に付けたピークに迫る勢いとなっている。なぜこのタイミングで価格が上昇しているのか、今後の展開はどうなるのか考察する。
実は「金に似た概念」
ビットコインは、ナカモトサトシと称する人物が開発したと言われる仮想通貨である。ビットコインは法定通貨のような発行主体を持たず、自律的に存続できる通貨である。ビットコインのベースになっている概念は金本位制であり、あらかじめ発行総量が規定されている。送金などの業務にコンピュータのリソースを提供した人にだけ、新規発行の通貨が付与される仕組みなのでインフレ(通貨価値の毀損)を起こしにくい。
技術的な仕様を見ると、非常に洗練された設計となっており、ブロックチェーンと呼ばれる取引台帳の概念も含め、以後に開発された多くの仮想通貨のモデルとなっている。仮想通貨は新しい概念だったことから、当初は専門家も含めて感情的に批判する人が多かった。政府が保証したものではないのでインチキだという指摘もあったが、それは通貨の本質を知らない人の、安易な考え方といって良いだろう。
通貨というのは、近代国家が成立するずっと以前から存在しているものであり、そもそも政府が保証しないと通貨ではないという考え方自体が間違っている。利用者がそれに価値があると考えれば、通貨というのは自然に流通していく。身の回りにある組織で、もっとも信用できるのは政府なので、結果として(政府が発行もしくは管理する)法定通貨が主流になっているに過ぎない。
以前は民間銀行が発行する通貨などいくらでも存在したし、今でも香港ドルのように、引き続き民間銀行が発行している通貨もある。
金も同じようなものであり、資産として保有される金に工業的なニーズはなく、それ自体が何か価値を生み出すものでもない。金に価値があるのは、多くの人が価値があると信じているからであり、ビットコインにもまったく同じメカニズムが働いている。
皆が価値があると考えていること自体が価値の源泉という、ある種のトートロジー(同義語反復)的な概念が理解できないと通貨制度の本質にはたどり着けない(経済学の世界にはトートロジー的な概念が多い)。ここで金の話を引き合いに出したのは、ビットコインと金には多くの点で類似性が存在するからである。
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