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地銀の再編は“数の減少”にあらず? プライドを捨てて強み生かせるか(3/3 ページ)
地方銀行の“再編”が待ったなしだ。しかし再編とは何か。「再編イコール、数を減らすというイメージがあるのではないか? そこに違和感、問題意識を感じている」。そう話すのは、日本資産運用基盤グループの大原啓一社長だ。
地銀のプライド
地銀、証券、双方の事情から、この動きは加速しそうだ。ただし、どの地銀でも証券各社との連携に積極的に取り組んでいるかというと温度差もある。
「大手の地銀で、比較的優位にあるところのほうが問題意識が強い。具体的にスケジュール感を定めて検討している地銀もある。厳しそうなところのほうが、ゆったり構えている。さらに、あまり何も考えていないところも少なからずある」(大原氏)
さらに、こうした証券会社との連携を簡単には受け入れられない理由もある。地銀としてのプライドだ。
「金融商品仲介に身を落とすのか、という抵抗感を持つ地銀の経営者もいる」と大原氏。もちろん、軒を貸して母屋を取られるようなことになってしまっては、元も子もないが、本当に守るべきなのは、プライドではなく地域に新しい付加価値を提供できるかどうかだ。
「地銀の再編プレッシャーがある中で、再編しなければ縮小均衡に陥る。合併や経営統合ならプライドは保てるかもしれない。しかし、それだけで地域金融として新しい付加価値を作れるのか、成長できるのか」(大原氏)。地域金融の守り手として、各地銀はどんなかじ取りをしていくのか。この1、2年が注目される。
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