西友に楽天と米投資ファンドが出資 2社で85%取得、デジタル化を加速へ:オンラインと実店舗を融合
楽天が西友に出資すると発表。米投資ファンドのKKRと共に、西友の親会社の米ウォルマートから一部の株式を取得する。小売りの現場のデジタル活用を促進し、オンラインとオフラインを融合した顧客体験を充実させる。
楽天は11月16日、大手スーパーの西友に出資すると発表した。米投資ファンドのKKR(コールバーグ・クラビス・ロバーツ)と共に、西友の親会社の米ウォルマートから一部の株式を取得する。楽天は、新たに設立するデジタルトランスフォーメーション(DX)支援の子会社が西友の少数株式を持ち、現場のデジタル活用を促進。オンラインとオフラインを融合した顧客体験を充実させる。
今回合意に至った契約では、KKRが西友の株式の65%、楽天が2021年1月に設立する新会社「楽天DXソリューション」を通じて20%を取得。ウォルマートも引き続き15%を保有する。今回の取引における西友の企業価値は1725億円としている。
取引によって、西友にとっては「新たな株主が加わると共に、日本で意思決定ができるようになる」ことや、「新たな株主が持つ専門性を活用しながらイノベーションを進め、お客さまや取引先が恩恵を享受できるようDXを一段と加速できるようになる」ことといったメリットがあるという。
楽天と西友は18年10月、共同で「楽天西友ネットスーパー」を開業。配送の効率化や楽天会員サービスとの連携、品ぞろえの強化など、協業を進めてきた。今回の出資によって、DXに向けた取り組みをさらに加速させる。
具体的には、アプリを利用した買い物や配達を実現するためのデジタルチャネル投資の加速、新たなキャッシュレス決済の導入、オンラインと実店舗を融合させたサービスの向上、エブリデー・ロー・プライス(毎日低価格)商品群の拡充などの施策を実施していく。
KKRは大企業グループの子会社に投資してきたノウハウを活用。小売りビジネスのオペレーション改善などに関する知見を提供する。
楽天が設立する楽天DXソリューションは、国内の小売り事業者を対象に、店舗などのデジタル施策を支援する。OMO(Online Merges with Offline)やデータマーケティングのノウハウを生かし、人工知能(AI)による需要予測を活用した在庫管理や価格設定の最適化、実店舗におけるレジ無し決済の導入、オンラインとオフラインの購買データ活用などの実施を予定している。さまざまなパートナーとの提携も視野に入れており、現在、東急も同社との提携を検討しているという。
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