西友の精肉売り場が黒いトレーだらけになっていた!:牛も豚も鶏も……(1/2 ページ)
スーパーではさまざまな色のトレーに肉を入れている。西友では4月から牛肉、豚肉、鶏肉を入れるトレーのほとんどを黒に変更した。この戦略は吉と出るのか?
西友の精肉売り場にある大きな変化が起きている。牛肉、豚肉、鶏肉を入れるトレーのほとんどが黒色になっているのだ。「4月から黒パッケージに順次切り替えています」(広報担当者)という。
スーパーで肉を入れるトレーの色は白や茶色などが多い。高級な牛肉をアピールするために、黒のトレーが使われているのは見たことがあるが、どのような狙いがあるのだろうか。
近隣のスーパーを歩き回ってみた
筆者が黒一色の売り場を見かけたのは西友阿佐ヶ谷店(東京都杉並区)。JRの阿佐ヶ谷駅から丸ノ内線の南阿佐ケ谷駅までのエリアはイトーヨーカドーや複数の中堅スーパーがひしめく“激戦区”だ。他のスーパーがどうなっているのか、いくつか視察してみた。
高級路線を打ち出しているある店では、白いトレーは少数派で、透明なトレーや茶色のトレーのほうが多かった。安さを売りにしている中堅スーパーでは白いトレーが半分以上を占めており、残りは木目調や銀色のトレーを使っていた。総じて、お手頃価格のひき肉や細切れなどは白のトレーに入っており、産地をアピールするようなやや高価格帯の肉は色のついたトレーに入っていた。
イオンとイトーヨーカドーの場合
他の大手スーパーでは、どのような方針を掲げているのだろうか。
イオンリテールの場合、運営する店舗ではさまざまな色のトレーを使い分けているという。例えば、売り場に季節感を演出するため、夏にはしゃぶしゃぶ用の肉を水色のトレーに入れている。また、冬になると温かさをイメージさせるえんじ色のトレーを利用している。同社のプライベートブランド(PB)であるタスマニアビーフを入れるトレーは黒色に統一している。「黒を利用することで、締まりのある売り場を演出するため」(広報担当者)という。
主に白いトレーを使うのは、豚肉の細切れや鶏肉全般だ。白の発砲トレーは最も利用頻度が高く、お客が店に設置されているリサイクルボックスに入れやすいよう、同じサイズのものを意図的に使っているという。ある商品を際立たせるために、銀色のトレーを使うこともある。例えば、ラム肉を銀色のトレーに入れることで、お客の注意を引き付ける効果を狙っている。
イトーヨーカドーの場合はどうだろうか。「毎日のように買われる精肉の場合は、白のトレーを使う」(広報担当者)が、ブランド品やグレードの高い肉は黒いトレーに入れる。すき焼き用の肉は赤いトレーに入れることもある。売り場に季節感を出すため、夏にしゃぶしゃぶ用の肉を水色のトレーに入れるのはイオンと同様だ。トレーの使い分けについては、一律のルールがあるわけではなく、現場で最適なものを判断しているという。
関連記事
- 「どさん子ラーメン」は今…… 急成長から衰退までの経緯と復活のシナリオに迫る
札幌みそラーメンの“伝道師”として急成長した「どさん子ラーメン」。かつては1000店以上を展開していたが、マネされるのも早かった。“衰退”したと思われている一方で、復活に向けた動きもある。 - セブンティーンアイスが大躍進 34年で激変した自販機の“設置戦略”
自動販売機で売られているセブンティーンアイス。自販機の設置台数が過去最高を更新している。成長を可能にしたのは時代の変化にあわせた“設置戦略”だ。 - 苦戦していた「沖縄ファミマ」が稼ぎまくるようになった経緯が面白い
沖縄にあるファミマの全店平均日商は全国平均より高い。なぜ沖縄のファミマの稼ぐ力は高いのか。地元に密着した独自の商品開発力やマーケティング施策に迫る。 - 豊洲市場の吉野家が面白い 「時給1500円」に「超少ないメニュー数」
2018年10月に吉野家の1号店は築地から豊洲市場に移転した。他店とは違うユニークな運営がされている。創業精神を受け継ぐお店に行ってみた。 - 「なぜ売れるか分からない」 ドンキ化したファミマの人気商品に幹部が困惑
ドン・キホーテのノウハウを取り入れた共同実験店が6月にオープンした。店舗の売れ筋商品を分析したところ、ある商品が上位に食い込んだ。ファミマの幹部は「なぜ売れるのか分からない」と原因を分析しきれていない。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.