在宅勤務なら大丈夫でしょ! 「100万人の引きこもり」を活用できるのか:スピン経済の歩き方(1/6 ページ)
日本には「引きこもりが100万人いる」と言われている。人手不足が叫ばれている中、「過疎地で、引きこもりの方たちを活用しては?」といった声が出ているが、実現するのだろうか。筆者の窪田氏は否定的に考えていて……。
「これからの時代は女性活用だ!」
「それだけじゃまだ足りないから、入管法を改正して安い賃金でコキ使える外国人労働者をジャンジャン呼べ!」
「思っていたほど外国人が来てくれないから、元気な高齢者を働かせろ! 定年を80歳まで延長だ!」
というような流れで近年、日本では「人材」を広げることで、労働人口の減少という問題を乗り切ろうとしてきたわけだが、ここにきていよいよ奥の手というか、「そこまできたか」と驚くようなダイナミックな意見が出ている。
それは、「引きこもり人材」の活用だ。
例えば、城西国際大学院准教授、不登校訪問専門員の柏木理佳氏は、10月7日に発売された『ひきこもりは“金の卵”』(日経プレミアムシリーズ)の中で、さまざまな分野で活躍する元ひきこもりの方たちを紹介し、ひきこもりという現象をそれほどネガティブに捉える必要はなく、在宅ワークが当たり前となったこれからの時代はむしろ「貴重な人財」だと説いている。
実際、最近では「引きこもりの方におすすめの在宅ワーク」なんて求人情報もネットで見つけられるのだ。また、無理に働かなくても、引きこもっている人でも「活用」できると主張する人もいる。思想家の内田樹氏だ。
内田氏は、新著『コモンの再生』(文藝春秋)を紹介するインタビュー記事「日本列島をどう守るか 過疎化に”100万人の引きこもり”が役立つワケ」(文春オンライン11月14日)の中で、自然の侵食を食い止める「里山」を整備するために、人がちゃんと住む必要性を説き、こんな斬新なアイデアを披露している。
『一説によると、日本にはいま100万人の「引きこもり」がいるそうです。その人たちに過疎の里山に来てもらって、そこの無住の家に「引きこもって」もらう。(中略)それほどの給料は払えないでしょうけれども、人がいなくなった集落でも、お盆のときは戻ってくるから、家は廃屋にしたくないという人はたくさんいます。そういうミクロな求人とミクロな求職をマッチングする仕組みができれば、かなりの数の「引きこもり」が里山の「歩哨」として暮らして、かつて西武開拓者が経験したような達成感や全能感を経験して、メンタル的に回復するというようなことが起きるんじゃないか』(同上)
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