在宅勤務なら大丈夫でしょ! 「100万人の引きこもり」を活用できるのか:スピン経済の歩き方(2/6 ページ)
日本には「引きこもりが100万人いる」と言われている。人手不足が叫ばれている中、「過疎地で、引きこもりの方たちを活用しては?」といった声が出ているが、実現するのだろうか。筆者の窪田氏は否定的に考えていて……。
都会でやっていたことを山奥で
なんてことを聞くと、「引きこもりには人権がないのか!」と怒りで気がヘンになってしまう引きこもりの方も多いかもしれない。実際、SNSでは、内田氏のこの提案をボロカスに叩く人も少なくない。
ただ、個人的にこのようなアイデアが出てくるのは理解できる。過疎地へ移住してのびのびと生きることを既に実践している方がいらっしゃるからだ。和歌山県田辺市の最寄り駅までクルマで約2時間の限界集落で、廃校を改装した「共生舎」というところで、20〜40代のニート十数人と共同生活を送っている石井あらた氏だ。
ブログや『「山奥ニート」やってます。』(光文社)という著書も出して、テレビなどでも取り上げられている方なのでご存じの方も多いかもしれない。石井氏は大学在学中に引きこもりになって中退。その後、同じく引きこもりだった友人に誘われて、この山奥に移住してきた。
では、そこでいきなりTOKIOのDASH村のような自給自足生活を送るようになったのかというと、そんなことはない。インタビューでもサクっとこんな風に答えている。
「僕はこっちにきて暮らしが劇的に変わったかというと、そうでもなくて。ずっとひきこもりなんですよ。一貫して。基本的には、実家で暮らしたときのままですね。ずっとゲームをすることもありますし」(好書好日 6月6日)
他の方も同じで、朝早起きして畑仕事をするとかではなく、深夜までアニメやゲームを楽しみ昼まで寝ていて時々、集落のお年寄りの手伝いをすることで収入を得ているくらいだという。基本的には都会でやっていたことを山奥でやっているだけなのだ。
このような「山奥ニート」のみなさんが、日本全国の過疎地へ進出すれば、確かに限界集落はよみがえるかもしれない。そうなれば、「里山」の境界線が守られることになるので、日本中で多発している熊が住宅街にひょっこりと現れるなんてこともだいぶ改善されていくはずだ。
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