給付金の不正受給とGo To イートの「錬金術」の根は同じ:軽い気持ちで(2/3 ページ)
コロナ禍で繰り返される「火事場泥棒」的な行為は反社会的で浅ましいものなのに、若い人たちがよく考えもせずに軽い気持ちで手を染める風潮こそが恐ろしい。そこには「おカネを稼ぐ」ことの意味合いを十分に理解できていない幼稚性が見える。
持続化給付金というのは簡単にまとめると、新型コロナウイルスによって売上が減少した事業者を対象とした現金の給付だ。給付額の上限は法人200万円、個人事業者100万円で、用途は自由で返却の必要はない。
残念ながら、給付の速度を優先しているために審査が実質的にないことを悪用しての不正受給が後を絶たなかったのだ。その不正の大半は、実際に事業などやったことがない連中が個人事業主を装って申告し、まんまと給付額100万円をせしめるというものだ。
しかしこの話には裏がある。そうした不正行為を働いた者たち(大半が若者)の多くは税理士などと称する「指南役」に「いいバイト代になるよ」などとそそのかされて軽い気持ちで実施しており、そうした「指南役」に申請書類の作り方などを指導してもらい20〜60%もの手数料を支払っているのだ。
こういう「指南役」連中の一部は、制度の抜け穴を見つける悪知恵、思慮の足らない若者を実行犯にするやり方、そして自分たちには「足がつかない」やり方を熟知していることからして、特殊詐欺を裏で操っている組織的犯罪集団である可能性も高い。
この持続化給付金の不正受給は、既に世間の注目を浴びて「犯罪だ」ということが認知されてきた上に、調べられたらすぐに発覚すること、不正が発覚した場合には2割増の返還請求を受けることもやがて知られるだろうから、今後は件数もかなり減るだろう。
さて、もう一つのコロナ禍での「火事場泥棒」的な行為は、Go To Eatにおける「錬金術」だ。居酒屋チェーン「鳥貴族」で1品だけを注文し、1000円分のポイント付与で"儲け"を得る、いわゆる「トリキの錬金術」が最も有名だ。他の飲食チェーンでも同様の行為が発見されているし、Go To Eatのポイントを貰って次回またそのポイントで食事ができるという「無限ループ」もネット上で話題となっている。
発端は、Go To Eatキャンペーンの内容とポイント付与の仕組みをいち早く知った人間が「これって、注文代金と関係なしにポイントをもらえるなら、逆ザヤを狙えるな」と気づき、それをさも自慢げにSNSで拡散させたことに始まる。そのやり方を知って実際に飲食チェーンで試してみて、「本当にできる!」と報告する連中が続出して、さらに真似する奴らが増える、という事態になっているのだ。
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