「我慢の3連休」だったのに、なぜ人は「経済」を優先したのか:スピン経済の歩き方(2/5 ページ)
新型コロナの感染者が急増したことで、日本医師会が「我慢の3連休」を呼びかけたにもかかわらず、観光地や繁華街などでは多くの人が訪れていた。なぜ感染者が増えているのに、人は街中を歩くのか。その背景に……。
我慢しない人が増えている背景
では、なぜこれほど感染拡大の危機が叫ばれている中で、「我慢」しない人が増えているのか。新型コロナの危険を軽視している人が増えているから。自分さえ楽しければいいという自己中心的な考えの人が多いから。いろいろな見方があるだろうが、個人的には「経済活動の重要さ」をあらためて再確認した人が増えているからではないかと思っている。つまり、「我慢」をして、家の中でじっとしているよりも、「我慢」をしないで外に出て、モノを買い、食事をしたほうが救われる命もあるのではないか、と感じている人が多いのではないか。
実際、そう感じざるを得ない衝撃的な数字が、11月10日に出された。
警察庁の調べによると、10月の自殺者数は2153人で、前年同月に比べ約4割も増えたというのだ。ちなみに、同じ10月、新型コロナによる死者は191人である。ウイルスで命を奪われた人の10倍以上もの人が自ら命を絶っているのだ。
もちろん、自殺の動機は人それぞれだが、リーマンショック後に自殺者数が増えたように、失業率と自殺には相関関係があることが分かっている。厚労省によれば、新型コロナで職を失った人は今年5月に1万人を突破し、その後も増え続け、11月6日までに見込みも含めて、7万242人になるという。これだけ失業者が出れば、自殺者数が増えても不思議ではない。
また、新型コロナは経済的弱者ほど心が疲弊することも分かっている。東京医大などのチームの調査によれば、今年2月と4月のコロナ禍で、重いうつが疑われるほどのメンタルヘルスが悪化した人の割合は、年収が低いほど多かった。
つまり、新型コロナにかかるかもしれないという不安より、コロナ自粛で経済活動がストップしたことによる、失職や収入減などのほうがはるかにメンタルヘルスに悪影響を及ぼしている可能性があるのだ。
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