「我慢の3連休」だったのに、なぜ人は「経済」を優先したのか:スピン経済の歩き方(3/5 ページ)
新型コロナの感染者が急増したことで、日本医師会が「我慢の3連休」を呼びかけたにもかかわらず、観光地や繁華街などでは多くの人が訪れていた。なぜ感染者が増えているのに、人は街中を歩くのか。その背景に……。
生きていくうえで何が必要なのか
もしGo To キャンペーンが何かしらの見直しをされれば、収入が減ってしまう人も多いだろう。また、今年前半のような営業自粛が要請されたら廃業に追い込まれる事業者も出てくるだろう。そうなれば、失業者も増えるので自殺者も増えていく恐れがある。このような「経済死」が増えることが、社会にとっては非常に深刻なダメージをもたらすことは言うまでもない。
「我慢」をして自宅に引きこもっていれば、確かに重症化リスクの高い高齢者などに感染を広げることはないので、救われる命がある。しかし、「我慢」をしないで外に出て、買い物や食事を楽しむことでも、救われる命がたくさんあることを、この半年間で多くの人が痛感しているのだ。
それが「新型コロナ感染者急増」の最中でも、経済活動を控えない人がこれだけ世の中に溢れかえっている理由ではないのか。
というと、「命よりも経済を優先するのか!」とか「そういう無責任な考え方が感染拡大を招いて、医療従事者を苦しめるのだ」と憤る方も多いかもしれないが、これは別に命と経済を天秤にかけてどっちを選べばいいのかというような類の話ではなく、人が生きていくうえで何が必要なのかという話である。
夢や目標を追い求めるのが生き甲斐だという人もいれば、家族や大切な人を守ることに命をかけている人もいる。もちろん、そのためにも、健康で病気にならないようにしなくてはいけないわけだが、それはあくまで手段であって、生きる目的にはならない。
人間というのは「病気にならない」ために生きているわけではないのだ。もちろん、感染症の場合、拡大を抑えることは社会全体で取り組まなくてはいけないが、死者がどれだけ出るのかなどのリスクを考慮して、社会活動とのバランスをとってきた。
実際、これまでわれわれの社会はそうやってきた。例えば11月23日、新型コロナの国内死者数は2000人になったとニュースになっていたが、2019年の人口動態統計月報年計(確定値)によれば、昨年1年間でインフルエンザで亡くなった人は3575人である。
関連記事
- 「70歳まで会社にしがみつく人」が結局、会社を弱体化させてしまうワケ
定年を引き上げるニュースが相次いでる。現行の60歳から65歳にする企業が増えてきているわけだが、筆者の窪田氏はこの動きに懸念を抱いている。「長く働くことができていいじゃないか」と思われたかもしれないが……。 - なぜ「プリウス」はボコボコに叩かれるのか 「暴走老人」のアイコンになる日
またしても、「暴走老人」による犠牲者が出てしまった。二度とこのような悲劇が起きないことを願うばかりだが、筆者の窪田氏は違うことに注目している。「プリウスバッシング」だ。どういう意味かというと……。 - わずか3カ月で「マスク専門店」を開き、どんなことが見えてきたのか
ファッションブランドを展開するコックスが、マスク専門店「Mask.com(マスクドットコム)」をオープンした。これまでになかった店を運営してみて、どんな気付きがあったのか。担当者に聞いたところ……。 - スーツに見える作業着は、なぜ3倍ペースで売れているのか
スーツに見える作業着をご存じだろうか。2018年、水道工事を行っている会社が発売したところ、売れに売れているのだ。多くのアパレルが苦戦している中、なぜこの商品はヒットしているのか。グループ会社の社長に話を聞いたところ……。 - 「男女混合フロア」のあるカプセルホテルが、稼働率90%の理由
渋谷駅から徒歩5分ほどのところに、ちょっと変わったカプセルホテルが誕生した。その名は「The Millennials Shibuya」。カプセルホテルといえば安全性などを理由に、男女別フロアを設けるところが多いが、ここは違う。あえて「男女混合フロア」を取り入れているのだ。その狙いは……。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.