お客の「肘」を見ただけで、なぜ塚田農場の売上は伸びたのか:水曜インタビュー劇場(じーっと見る公演)(2/6 ページ)
店内にカメラを設置して、その映像をじーっと見る。スタッフなどの動きを分析して、生産性向上を支援している会社がある。「トリノ・ガーデン」だ。具体的にどんなことをしているのか。同社の社長に話を聞いたところ……。
意識していなかったことを数値化
土肥: トリノ・ガーデンは店内などにカメラを設置し、その映像を見て、人の行動などを分析しているそうで。一般的に店内のことを分析する際、2つのパターンがあると思うんですよね。1つは、自社で行う。ベテランのスタッフが店内を見て、「うーん、ここはよいけれど、ここはよくないなあ。そんでもって、ここは……」といった形で、あれこれ指摘する。
もう1つは、コンサル会社が行う。店内を見て回って、「同業他社と比べると、御社の強みは……」といった具合に、いろいろ改善点を指示する。この2つのパターンと違って、トリノ・ガーデンはどのようなことを行っているのでしょうか?
中谷: サッカーや野球など、試合終了後に、選手のパフォーマンスが数値化されていますよね。サッカーであれば、「この選手は、試合中に〇キロ走った」といった感じで報じられることがありますが、この仕組みを店舗や施設にも導入しました。店内にクラウドカメラを設置し、その映像を見て、お客さんのストレスを分析しているだけでなく、スタッフの負荷や料理の品質なども数値化しています。
話はちょっと変わりますが、健康診断を受けて「あなたの尿酸値は『8mg/dL』です」と言われても、よく分からないのですよね。以前から、尿酸値が高い人であれば「うわ〜、基準値を超えてしまったよ。ヤバいなあ」と感じることができるわけですが、そうでない人は「それって高いの? 低いの?」と思うはず。ちなみに男性の場合、一般的に「3.0〜6.9mg/dL)が正常値と言われています。
では、「御社のスタッフは『1時間に1800歩』歩いています」と言われて、どのように感じるでしょうか。尿酸値のときと同じように基準を知らなければ、よく分からないですよね。ただ、「1700歩を超えると、入店4週目の離職率は20%アップする」と言われると、どうでしょう?
土肥: スタッフの数が不足していれば、「や、やべーな。1700歩以上歩かせないために、どうすればいいのかな」と考えますよね。
中谷: これまで意識していなかったこと、よく分からなかったこと、もやもやしていたことなどを、映像を分析することで数値化しています。録画された映像を、オフィスでじーっと見る。ひたすら見る。そのとき、Aさん、Bさんの2人で分析しているんですよね。なぜ2人で見ているのかというと、人間なのでどうしても誤差が生まれてしまうから。許容できる範囲内であれば問題ないのですが、そうでない場合はどうするのか。3人目として、Cさんを追加する。そして、Cさんが計測した数値と、意見が割れたAさんまたはBさんの数値に近いほうを優先するといった形ですね。
土肥: 映像をじーっと見ている。そんな話を聞いているだけで、肩が凝ってきましたが、もう少し具体的な話を聞かせていただけますか? 例えば、ワタクシは居酒屋が大好き。仕事が終わって生ビールをぐびぐびしていると、生きている喜びを感じるわけですが、その居酒屋を分析して、分かったことなどがあれば教えてください。
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