返礼品は「高級レストラン食事券」や「温泉利用券」 ふるさと納税に新たなブーム、企業のメリットとは:長浜淳之介のトレンドアンテナ(4/6 ページ)
ふるさと納税の返礼品に“体験型”が増えている。「洋服仕立券」「レストラン食事券」「温泉利用券」などが登場。提供する企業や農家が享受するメリットとは。
レストランで味わう地方の食材
全国でフランス料理、イタリアン料理及びカフェ29店、ホテル6施設を展開するひらまつは、パリに開いた「レストランひらまつ サンルイ アンリル」が02年に日本人オーナーとして初めてミシュランの星を獲得。国内でも複数のレストランがこれまでにミシュランの星を獲得した実績を持っており、世界的にもトップレベルのレストラングループである。
同社では、北海道白糠町や島根県浜田市などのふるさと納税の返礼品として、地元の食材を使った料理を、東京のレストランで楽しめる食事券を提供している。
食事券を返礼品とする企画は、16年に「ANAのふるさと納税」とタッグを組んだ取り組みから始まった。その町の食材で構成したフレンチやイタリアンの期間限定コースを、東京の系列レストランで提供し好評を博した。せっかく良い食材を返礼品としてもらっても、自宅ではうまく料理しきれないという声もあった。ひらまつの腕利きシェフたちが現地を実際に視察し、生産者と意見交換してえりすぐった食材を使用した料理である。
また、19年からは、白糠町にふるさと納税を行った人を対象に選ばれた約350人を招待し、白糠町の食材を80%以上使ったコース料理でもてなす「ふるさと納税感謝祭」を、東京・丸の内の「サンス・エ・サヴール」で開催している。感謝祭には棚野孝夫町長も出席。寄付した人に直接、日頃の感謝を伝えた。鴨田猛料理長が、数の子やししゃもといった普段フランス料理では見かけない食材や、ジビエのエゾシカ肉を魅力的な一皿に仕上げている。
ふるさと納税の効果は何か。同社は「新しい食材との出合いは、シェフたちのインスピレーションを刺激する。食材の新たな魅力を提案することで、地元の人たちにも喜んでもらえ、相乗効果をもたらしている」(ひらまつ・広報)と説明する。食材の発掘に寄与し、地域への貢献にもなっている。 この他にも、ひらまつは近くホテルを出店する予定となっている、長野県御代田町の返礼品として、御代田の食材を使ったコースを東京・西麻布の「レストランひらまつ レゼルヴ」にて提供した実績もある。
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