返礼品は「高級レストラン食事券」や「温泉利用券」 ふるさと納税に新たなブーム、企業のメリットとは:長浜淳之介のトレンドアンテナ(6/6 ページ)
ふるさと納税の返礼品に“体験型”が増えている。「洋服仕立券」「レストラン食事券」「温泉利用券」などが登場。提供する企業や農家が享受するメリットとは。
販売ルートをつくるのが主眼
兵庫県でふるさと納税額1位の洲本市は淡路島南部にあるが、アワビなどの海の幸はもちろん、淡路ビーフや淡路名産のタマネギなどの山の幸にも恵まれ、それらの食材を使った食事券を、都内10店のレストランで返礼品として出している。白糠町と同様に、市内の生産者を東京のレストランに紹介して、販売ルートをつくることに主眼が置かれている。
また、洲本温泉の利用券を5年ほど前から寄付額に応じて多彩に用意しており、日帰り入浴、食事、宿泊などに使える。市内には「ホテルニューアワジ」などの有名ホテルがある一方で、淡路島は知っていても洲本と結び付けられない人が多いという問題もあった。市の担当者によれば、洲本の知名度を上げるためにも、実際に来てもらって、魅力に気づいてもらうことが大切と考えている。
このように、体験型の返礼品は、地域の職人の育成、生産者の販路開拓、観光に寄与している。さらには、特産品に乏しい都市部の自治体の魅力発信にも役立っている。今年に関しては、コロナ禍で売り上げが落ちたアパレル、飲食店、ホテルなどの観光施設の需要喚起になるなど、多岐にわたる役割を果たしているのだ。
【お詫びと訂正:2020年11月26日午前5時の初出で、メーカーズシャツ鎌倉の創業者の名前と海外店舗の数に間違いがありましたので、修正しました。お詫びして訂正いたします。】
著者プロフィール
長浜淳之介(ながはま・じゅんのすけ)
兵庫県出身。同志社大学法学部卒業。業界紙記者、ビジネス雑誌編集者を経て、角川春樹事務所編集者より1997年にフリーとなる。ビジネス、IT、飲食、流通、歴史、街歩き、サブカルなど多彩な方面で、執筆、編集を行っている。共著に『図解ICタグビジネスのすべて』(日本能率協会マネジメントセンター)など。
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