驚異の在宅勤務率95% コールセンターを“丸ごと在宅化”、チューリッヒ保険が移行できた理由:アフターコロナ 仕事はこう変わる(3/3 ページ)
チューリッヒは、緊急事態宣言時にコールセンターを含む全部門を在宅勤務に移行。95%の在宅勤務率を達成した。その背景には2010年代初頭から進めた取り組みがあった。
電話交換機を起点に、履歴が残らない体制を構築
しかし先述したように、気になるのはセキュリティ面の課題だ。顧客情報の流出の懸念や、スタッフの教育はどのように行っているのだろうか。
同社は、在宅勤務への移行にあたり、12年から仮想デスクトップを導入しているという。これは、顧客対応を行うケアスタッフが操作するアプリケーションや顧客情報が全てサーバ上で稼働される技術だ。データは画像データとして映し出されるのみで、ケアスタッフ側が使用する端末には一切保存されない仕組みとなっている。
また、在宅勤務中の電話は、チューリッヒの電話交換機(PBX)を起点に、ケアスタッフ各自のスマートフォンと、顧客の回線をつないで電話応対にあたっているという。電話を受ける際は、クラウド上のPBXで電話を受け、またそのPBXが発信元になり在宅勤務中のケアスタッフのスマートフォンに着信する仕組みだ。
そのため、ケアスタッフのスマートフォンにの電話番号が表示されたり、履歴が残ったりすることは一切ない。また、ケアスタッフから顧客へ電話をかける際も、チューリッヒのフリーダイヤル番号が通知され、ケアスタッフのスマートフォン番号が通知されることはない。さらに音声データは暗号化され、全ての通話は、オフィス業務時と同様に、録音もされている。
また運用面では、ケアスタッフ本人以外はPC画面を見ることができない執務環境を整えることを在宅勤務の条件として、誓約書を交わしているという。
チューリッヒでは現在も日本支店全体で約7割、カスタマーケアセンターも東京と大阪の拠点では約8割が在宅勤務を継続しているという。内田氏は「感染状況を見ながら、それぞれのエリアで柔軟に勤務体制を変更できるように体制を整えている」と話す。同社は今後も業務内容や運営体制の見直しを図り、緊急時にはいつでも完全リモート運営へと切り替えができる体制を目指すとしている。
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