アイデア募集したら不正告発! 「政商」群がる? デジタル庁は大丈夫か:スピン経済の歩き方(2/5 ページ)
「デジタル改革アイデアボックス」をご存じだろうか。菅総理肝いりで進めているデジタル庁の創設に向けて、みなさんからアイデアを募集しているが、そこに「内部告発」が届いたのだ。「デジタル庁は大丈夫なの?」と思われたかもしれないが、筆者の窪田氏は違う見方をしていて……。
怪しい話だからこそ、取り上げる
とはいえ、この不正告発を全てうのみにすることもできない。この手の検討会に、実績やノウハウがある大手企業の人間がごっそり入りこむこと自体は珍しい話ではない。筆者も、ホニャララ検討会の事務方です、なんて役人っぽい名刺を渡されたが、よくよく聞くと、実は大手企業から出向している方だったなんて経験がたびたびある。
霞が関を動かしているのは、官僚だけではなく、“官僚っぽい大企業の人”もかなりいるのだ。もちろん、それは癒着しているわけではなく、政策を実現するために、その分野でノウハウや実績のある民間の力を活用しているのだ。官僚はどんなに優秀でも、主な仕事は内部調整という事務屋にすぎないので、エキスパートの存在がどうしても必要になってくるのだ。
そのような意味では、大手ベンダーが検討会にごそっともぐり込んでいること自体はそれほど大きな問題ではない。自治体に対して「ウチらデジタル庁に関わってますから」なんてドヤ顔で語るにも、決して褒められたことではないが、自治体に対して、自分たちとの付き合いを大切にすべきだとハッタリをかました程度の話かもしれない。
と聞くと、「じゃあ、そんな怪しい話をわざわざ紹介すんじゃねえよ、人騒がせだな」と感じる人も多いかもしれないが、怪しい話だからこそ、取り上げたのだ。
もし本気で日本政府がデジタル社会をつくりたいのなら、デジタル上の内部告発や不正の指摘に対して、オープンな態度で向き合っていく必要がある。それができるかどうかがデジタル改革の成否を分けると言っても過言ではない。そのような意味で、実は今回の書き込みは非常にいい試金石になる。だから、あえてこうして皆さんにも紹介させていただいたのである。
デジタル社会と、ネット上の不正告発に対応することなどまったく関係ないと思うかもしれないが、このような問題に真摯(しんし)に向き合い、そしてオープンな形で対応することが、実はデジタルイノベーションにつながるのだ、という人がいらっしゃる。
台湾のデジタル担当大臣、オードリー・タン氏だ。
関連記事
- 「我慢の3連休」だったのに、なぜ人は「経済」を優先したのか
新型コロナの感染者が急増したことで、日本医師会が「我慢の3連休」を呼びかけたにもかかわらず、観光地や繁華街などでは多くの人が訪れていた。なぜ感染者が増えているのに、人は街中を歩くのか。その背景に……。 - 「70歳まで会社にしがみつく人」が結局、会社を弱体化させてしまうワケ
定年を引き上げるニュースが相次いでる。現行の60歳から65歳にする企業が増えてきているわけだが、筆者の窪田氏はこの動きに懸念を抱いている。「長く働くことができていいじゃないか」と思われたかもしれないが……。 - なぜ「プリウス」はボコボコに叩かれるのか 「暴走老人」のアイコンになる日
またしても、「暴走老人」による犠牲者が出てしまった。二度とこのような悲劇が起きないことを願うばかりだが、筆者の窪田氏は違うことに注目している。「プリウスバッシング」だ。どういう意味かというと……。 - 登山家・栗城史多さんを「無謀な死」に追い込んだ、取り巻きの罪
登山家の栗城史多さんがエベレスト登頂に挑戦したものの、下山中に死亡した。「ニートのアルピニスト」として売り出し、多くの若者から支持を集めていたが、登山家としての“実力”はどうだったのか。無謀な死に追い込まれた背景を検証すると……。 - 「男女混合フロア」のあるカプセルホテルが、稼働率90%の理由
渋谷駅から徒歩5分ほどのところに、ちょっと変わったカプセルホテルが誕生した。その名は「The Millennials Shibuya」。カプセルホテルといえば安全性などを理由に、男女別フロアを設けるところが多いが、ここは違う。あえて「男女混合フロア」を取り入れているのだ。その狙いは……。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.