残高に年利1%の利息提供 新たな形の銀行目指すKyash
フィンテック企業のKyash(東京都港区)は12月1日、銀行口座などから入金した残高に対して年利1%の利息を付与するサービスを12月8日から始めると発表した。付与されるのは、Kyashバリューで現金引き出しは行えない。
フィンテック企業のKyash(東京都港区)は12月1日、銀行口座などから入金した残高に対して年利1%の利息を付与するサービスを12月8日から始めると発表した。付与されるのは、Kyashバリューで現金引き出しは行えない。
同社の鷹取真一社長は、「今までは決済サービスとしてやってきた。秋に資金移動業のライセンスを取得して、バンキングに近いサービス展開を進める。残高利息サービスは、その目玉」と話した。
利息は日次で計算し、毎月付与する。また、残高は100%外部に供託しており、Kyashに何かあっても全額が保証される。「どのみちKyashの決済サービスで使うので前もって残高に移しておく。それが少しでもお金を生んでいくという効果がある。何百万、何千万ではなく、日常的な金額を入れてもらうことを想定している」(鷹取氏)
Kyashは銀行業免許を持たず資金移動業免許で今回のサービスを提供する。「残高は預金ではない。利息は引き出せると銀行預金と同じになってしまうので、現金としては引き出せない」(鷹取氏)
現時点では資金決済法の制約により、入金上限は100万円だ。ただし2020年の法改正で新たな資金移動業の枠組みが設けられ、100万円を超える高額送金が可能な事業者の類型も設けられた。鷹取氏は、消費者向けのサービスなのでニーズなどの状況を見て判断していくとした。
現時点では残高をすべて外部に供託しているが、将来Kyashの信用が増加した際には、金額の一部を供託することで全額を銀行が保証する可能性もあるという。その際には、集めた資金を検討している融資サービスなどへ活用することになる。
Kyashは、スマートフォン上でバーチャルプリペイドカードを発行する事業からスタートした。プラスチックカードも提供しており、チャージした残高を使いVisa加盟店でクレジットカード同様に決済が行える。ユーザー間での送金機能も持つほか、9月には銀行口座からの入出金にも対応した。「決済、送金、資産形成ができるバンキングアプリ」をうたう。
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