東京メトロ、全路線の終電を10分程度繰り上げ 21年春、接続を考慮:夜間作業の時間確保も
東京メトロは2021年春のダイヤ改正で、全路線の終電時刻を10分程度繰り上げる。首都圏のJRや私鉄各社で終電時刻の繰り上げが実施されることから、接続を考慮する。また、夜間作業時間の確保を図る。
東京メトロは11月30日、2021年春のダイヤ改正で、全路線の終電時刻を10分程度繰り上げると発表した。首都圏のJRや私鉄各社で終電時刻の繰り上げが実施されることから、接続を考慮する。また、業務量が増加傾向にある夜間作業の時間確保を図る。
ダイヤ改正では全路線の終電時刻を10分程度繰り上げるが、初電時刻の繰り下げは実施しない。
同社が公表した主な乗換駅での終電繰り上げ時間(平日)をみると、大手町駅を午前0時19分に出発する丸ノ内線新宿行きは10分程度の繰り上げ、0時25分に出発する東西線中野方面行きは12分程度の繰り上げとなる。また、渋谷駅を0時12分に出発する銀座線上野行きは10分程度の繰り上げ、永田町駅を0時25分に出発する有楽町線池袋行きは11分程度の繰り上げになるという。
終電時刻変更の狙いについて、同社は「都心部における輸送ネットワークを考慮した繰り上げ時間の設定」としている。首都圏の鉄道各社の終電繰り上げ計画を考慮して、全体としてのネットワーク機能を確保するため、ダイヤを見直す必要があった。また、東京メトロはターミナル駅間の輸送を担っていることから、ターミナル駅での他社線との接続を考慮して終電時刻を設定。さらに、他社との相互直通運転にも考慮する必要が生じた。
なお、各社・各路線で繰り上げ時間の幅が異なり、終電接続の状況がこれまでと変わることがあるため、接続する列車の事前告知や案内を徹底していくという。
夜間作業時間の確保については、長年の課題になっていた。作業用車両は主に都心近郊の車両基地にあるため、終電後に作業場所まで移動する必要があり、十分な作業時間が取れない場合があるという。また、ホームドアなど設備の増強により、夜間作業件数は8年間で約1.4倍に増加。10分程度でも終電を繰り上げることで、保守・工事時間が10〜16%増加し、夜間作業の効率化や工期短縮といった効果が期待できるという。
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