“大復活”したコメダ、実力派なのに苦戦するドトール 喫茶チェーンで明暗が分かれた理由:長浜淳之介のトレンドアンテナ(2/6 ページ)
コロナ禍で大きな影響を受けた喫茶チェーン。コメダ珈琲店はヒット商品にも恵まれて急回復した。一方で、ドトールは苦戦が続いている。
コメダにとっての追い風
コメダの2020年における既存店売上高(前年同月比)を1月から10月まで振り返ってみよう。1月:101.8%、2月:112.9%、3月:90.5%、4月:53.1%、5月:71.3%、6月:85.5%、7月:89.9%、8月:92.5%、9月:101.0%、10月:101.6%となっている。
1、2月は好調なスタートだったが、3月から影響が出始めて、4月に売り上げが半減。5月以降は急回復に向かって、ついに9月には前年同月の売り上げを上回り、10月もその勢いを維持している。
感染拡大の第3波に入った11、12月は売り上げを落とす可能性が高い。しかし、大きく崩れることなく、感染が静まれば再浮上する見込みだ。
コメダは全国に900店ほどあるうちの約7割が郊外型のロードサイド店舗。残りはショッピングセンターに入っていたり、駅前にあったりする。ログハウスをイメージした郊外型の店舗は、単にコーヒーを飲む場所ではなく、「くつろぎ」や「居心地の良さ」を重視しており、元から席と席の間もゆったりとしている。
従って、満席でも密になっているイメージはない。コロナ禍においても、顧客から安心して行ける飲食店と考えられている模様だ。カウンター席も、飛沫防止ガードで仕切っているので、安心感がある。
今の消費者は新型コロナの感染拡大を恐れ、電車やバスなどの公共交通での移動を極力避けており、マイカーで移動する傾向が強まっている。クルマで走れば、生活道路沿いや高速道路のインターチェンジ付近に、コメダのような郊外型喫茶店が出現するのだ。ドライブに疲れたら、ちょっと休んでいこうかと思わせるのも追い風になる。
ボリュームのある「コメ牛」が大ヒット
コメダは商品的にも冴えている。9月1日に発売した季節限定のハンバーガー「コメ牛」が大きな反響を呼んだ。売れすぎて、一時は欠品が相次ぐほどで、業績回復に寄与した。
サイズは、並が680円(税込、以下同)、肉だくが980円、肉だくだくが1280円と3段階になっている。並でも、バンズのサイズが通常のハンバーガーの1.5倍はあろうかと思える大きさで、しかも挟まっている110グラムの肉やせん切りにしたキャベツがはみ出していて、迫力があった。肉だくは220グラム、肉だくだくは330グラムの肉をそれぞれ挟んでおり、食べた人がSNSに投稿することでさらに人気が高まる好循環を生んだ。
同商品は、牛カルビ肉を甘辛のたれで炒めている。そして、コメダが自社工場で製造しており、「高級ホテル仕様」といわれるパンともよく合っていた。
この商品のヒットで、コメダのボリューム感ある、こだわりのパンを使った「みそかつパン」をはじめ、サンドイッチやハンバーガーといったメニューが、改めて見直された。
また、名物スイーツ「シロノワール」の季節限定品で、熊本県産の和栗を使用した「シロノワール くまもとモンブラン」を発売しており、こちらも好調だ。通常サイズとミニサイズがあるが、ミニサイズであっても小食の人なら1食分の食事と同等の分量がある。
このように、コメダのファンでなくても、思わず行ってみたいと思わせるようなヒット商品を生み出している。苦境を脱することができるのも、こういった同社の底力のおかげである。
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