“大復活”したコメダ、実力派なのに苦戦するドトール 喫茶チェーンで明暗が分かれた理由:長浜淳之介のトレンドアンテナ(3/6 ページ)
コロナ禍で大きな影響を受けた喫茶チェーン。コメダ珈琲店はヒット商品にも恵まれて急回復した。一方で、ドトールは苦戦が続いている。
退職した団塊の世代が利用
お酒を中心に据えた居酒屋やディナーレストランのように、新型コロナの感染拡大時に自粛を強く求められる夜の業態でなく、モーニングに強いのもコメダの強みだ。
朝の時間帯には、コーヒーなどの飲み物を注文すれば、無料でトーストやゆで卵が付く。こうしたお得なモーニングサービスのスタイルは、コメダが誕生した名古屋を中心に、一宮、岐阜など中京地域では定着している。一方、コメダの全国的な拡散とともに、こういったスタイルは日本中で見られるようになった。
コメダが全国に展開できた背景として、高齢化が挙げられる。団塊の世代が退職して、会社に行かなくなると生活のリズムが乱れ、生きがいが失われてくる。そこで、朝からコメダに行くのを日課にする退職者が増えたのだ。コメダに行けば、新聞や雑誌がふんだんに置いてあるので、世間の話題にも遅れなくて済む。「新聞購読料の節約になる」という説もある。
コメダでは、コーヒー約1杯分が無料になる計算の回数券を販売しており、常連はこれを購入して店にやってくる。
コロナ禍で在宅勤務が広がってからは、昼過ぎから夜の時間帯にかけて、PCを広げて仕事をする人も増えた。ずっと家にいると、気分転換ができず仕事が捗らないという人も多い。
コメダの多くの店では、無料で使えるコンセントと、公衆Wi-Fiを備えているので、テレワーカーにも重宝されている。
コメダと同様のタイプの郊外型喫茶が全国的に増えているが、すかいらーくグループが展開する「むさしの森珈琲」は20年9月末で42店となった。「ガスト」などファミレスに比べて回復が早いことから、首都圏の店舗を12店から29店へと大幅に転換しており、本腰を入れて拡充する計画である。
また、すかいらーく創業者の1人である横川竟氏が始めた「高倉町珈琲」は20年に6店を新規オープンしており、32店まで増えてきた。
焼肉屋さかいの創業者である坂井哲史氏が始めた「さかい珈琲」も3店が新規オープンして、22店となっている。
コロナ禍によって人口が郊外に移動してきた。そのため、コメダのみならず、競合も含めて郊外型喫茶が、ブームになってきているのだ。
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