なぜ石川県の加賀温泉郷に人が集まるのか 「ファンづくり」の裏側:モーニング娘。を起用(5/6 ページ)
新型コロナの感染拡大を受けて、多くの観光地が苦しんでいる。Go To トラベルによって人出が戻りつつある中、週末には多くの観光客でにぎわっているところがある。石川県の加賀温泉郷だ。なぜこの温泉地に人が集まっているのかというと……。
「SNS発」プロモーションの循環
SNSから始まったこのプロモーションの中で、この日初めて加賀さんとファンが加賀の地で邂逅(かいこう)することとなり、県内外から何百人ものファンが詰めかけた。会場には長蛇の列ができ、加賀温泉郷の旅館はほぼ満室となっていた。
そんな「SNS発」プロモーションの循環は続き、加賀温泉郷側が呼びかけた企画にはファンは必ず反応し、それのみならずファンの中から発生している働きかけも多数発生している。
例えば、首都圏のJR各駅にポスターが貼り出された際は、どの駅のどこに貼られているかを「ハロー!プロジェクト」からもじり「#貼ろうプロジェクト」というタグをつけて投稿することを温泉郷側が提案し、それに応じたファンが掲示されているすべての駅をまわり、詳細な位置の一覧やマップなどが作られた。
モーニング娘。ファンのイラストレーター、こもりあやみさんは自作で加賀温泉郷の良さやお店を紹介するイラストマップを作成したりと、さまざまな取り組みをしている。
過去に仙台市でも同様のイラストマップを制作したというこもりさんに話を聞くと「『東京拠点のアイドルと地方観光』という視点でもっと作品を増やしたいと思っていたところ『#加賀四湯博2019』の際にファンの方が何やら盛り上がっていると加賀温泉郷が目にとまりました。その時点でキャンペーンについてはそこまで詳しくなかったのですが、『なんだか楽しそう』という空気感が取材の引力に。
宣伝ポスターや等身大パネルを撮影しているのがすごくインパクトがあり、季節ごとにどんどん新しいポスターが出て、それにファンが反応して……。そこでイラストマップを作ってみたら飲食店の方がお店に掲示してくださってありがたかったです」と、現地飲食店とファンの信頼関係も見られた。
飲食店の方など、地元の方と話をした際は「キャンペーンがきっかけでファンの方が何回も訪れてくれるのが本当にありがたい」「加賀温泉でこういった有名人を起用したキャンペーンは、女優の樋口可南子さんが山中温泉の観光ポスターモデルをして以来約30年ぶり」と喜びの声が多数あったようだ。さらにこれをきっかけに飲食店の方がハロー!プロジェクトやモーニング娘。のコンサートを見に行くという相互交流も生まれているという。
関連記事
- 「男女混合フロア」のあるカプセルホテルが、稼働率90%の理由
渋谷駅から徒歩5分ほどのところに、ちょっと変わったカプセルホテルが誕生した。その名は「The Millennials Shibuya」。カプセルホテルといえば安全性などを理由に、男女別フロアを設けるところが多いが、ここは違う。あえて「男女混合フロア」を取り入れているのだ。その狙いは……。 - スーツに見える作業着は、なぜ3倍ペースで売れているのか
スーツに見える作業着をご存じだろうか。2018年、水道工事を行っている会社が発売したところ、売れに売れているのだ。多くのアパレルが苦戦している中、なぜこの商品はヒットしているのか。グループ会社の社長に話を聞いたところ……。 - 売上5倍! 経営難に陥っていたキャンプ場を、どうやって再生させたのか
キャンプ場が盛り上がっている。現在は「第二次ブーム」でたくさんのお客が詰めかけているが、その一方で経営が苦しいところも少なくない。そんな中で、赤字に陥っていたキャンプ場を再生した会社がある。どうやって再生させたのか、会社の専務取締役に話を聞いたところ……。 - 登山家・栗城史多さんを「無謀な死」に追い込んだ、取り巻きの罪
登山家の栗城史多さんがエベレスト登頂に挑戦したものの、下山中に死亡した。「ニートのアルピニスト」として売り出し、多くの若者から支持を集めていたが、登山家としての“実力”はどうだったのか。無謀な死に追い込まれた背景を検証すると……。 - レゴランドってそんなにひどいの? 家族を連れて行ってみた
「隣接する商業施設からテナントが撤退」「水筒の持ち込み禁止」などのニュースで注目を浴びているレゴランド。ネット上では酷評する声もあるが、実際はどうなのだろうか。記者が家族を連れて遊びに行ってみた。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.