「社長の住む街1位」が田園調布や成城でなく赤坂である意外なワケ:“いま”が分かるビジネス塾(1/3 ページ)
「社長の住む街」ランキングで1位は赤坂に。田園調布や成城などの高級住宅地を抑えた。背景には経済と社長業の意外な背景が。
東京港区赤坂の住人は10人に1人が「社長さん」。これは企業データベースを使った調査で得られた結果である。昭和や平成の時代、社長さんが住む街と言えば大田区の田園調布や世田谷区の成城など、いわゆる高級住宅地が頭に浮かんだものだが、近年は状況が大きく様変わりしている。
昔ながらの高級住宅地は圏外
東京商工リサーチが行っている「社長が住む街」調査の結果によると、2020年におけるトップとなったのは東京都港区の赤坂だった。港区の住民で企業の代表を務めている人は3545人に上り、住民における社長の比率は13.1%とかなり高い。このランキングは2017年にも行われているが、1位はやはり港区の赤坂だった。前回調査における社長の比率は10.0%だったので、赤坂は10人に1人以上が社長さんと考えて良いだろう。
2位は東京都新宿区の西新宿、3位は港区の六本木、4位は渋谷区の代々木、5位は港区の南青山、6位は港区の高輪となっている。実は1〜6位までの順位は前回調査とまったく同じであり、社長さんに人気の街は、(少なくとも現時点では)かなり固定化しているようだ。
かつて社長さん(あるいは高額所得者)が住む街の代名詞だったのは大田区の田園調布や世田谷区の成城である。田園調布は高級住宅地として開発されたので、住宅の敷地面積が広く、道路にも余裕がある。住民の意識は高く、美しい町並みが長く維持された。昭和から平成の時代にかけての田園調布はまさに富裕層を象徴する街だったと言って良い。成城も多くの著名人が住み、住環境が極めて良好な街として知られていた。
だが、17年や20年に行われた調査では、田園調布も成城もランキング上位には入っていない。赤坂はかつては料亭がひしめき合い、今でも飲食店が軒を連ねる、いわゆる繁華街であり、高級住宅地のイメージとは程遠い。西新宿の駅前はオフィス街となっており、距離が離れると住宅街になるエリアだが、東口はやはり繁華街なので、やはり高級住宅地というイメージは薄い。六本木に至っては、(一部のエリアだけとはいえ)世界的にも名前が知れた繁華街である(もっとも赤坂や六本木も、1本通りを入ると高級住宅街が現れるが、街全体のイメージはやはり繁華街だろう)。
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