福袋は「企業泣かせ」? 意外な成り立ちと工夫を凝らしたコロナ禍の戦略:福袋購入歴40年のベテランが分析(4/4 ページ)
新型コロナウイルス感染拡大の中、例年とは違う動きを見せる「福袋商戦」。福袋を40年以上買い続けてきた筆者のMOMOTA氏はこう分析する。
今回は「高額福袋」より巣ごもり需要を重視?
例年華々しく、また「誰が買うのか」と羨望のまなざしで目の保養をさせてもらっていた高額福袋や、毎年人気を集める体験型の福袋は今回はどうなったのでしょうか。
かつて百貨店の夢を与えてきた「家を建てる福袋」や「超高額ダイヤ福袋」など、億円単位の福袋の情報が今回はあまり出てきていないように感じます。本来であれば暗い世の中に光を照らして欲しいところではありますが、コロナ禍で仕事を失ったり、給料も減額されたりした人も多い世の中では、このような高額福袋は、世相に逆らう形になるので極端に減ったのは仕方がないのかもしれません。
現状、3000万円程度の高額福袋はいくつか確認していますが、億を超えるような福袋はまだ確認できていません。
ファミリーやカップル、最近では個人でも参加できるワークショップ型の体験型福袋が人気を集めていましたが、今回はリモートが活用され、遠隔でのレッスン体験などが目立ちます。また、その年の流行語などを活用した福袋を出すのが百貨店の得意とするところですが、今回は明るい流行語が少なかったこともあり、各百貨店横並びで"巣ごもり”をテーマにしているようです。
さて、さまざまな福袋事情の現在地をお話ししてきましたが、巣ごもり需要でWeb通販で販売する福袋は好調です。今まで通販を利用しなかった人たちも、必要に迫られて通販を利用するようになったことが最大の理由でしょう。これから年末にかけては、家電商品の福袋の販売も通販で開催されます。
世の中が大きく変化している今、福袋商戦が変わらないわけがありません。しかし福袋は、日本独自の伝統的な商戦であり、お客に夢や楽しみを与え続けてきました。コロナ禍の中、百貨店などにとってどのようなお正月になるのか、今後も見守っていきたいと思います。
著者プロフィール
MOMOTA(米倉勝巳)
人の笑顔が好きで「笑わせる、笑われる」のどちらでも良いと、お笑いタレントをしながら芸能人サッカーチームなどで活躍。引退後は趣味であった福袋購入を仕事に転換。現在は本業の通販の運営と、10年以上毎日更新している「福袋カレンダー」をなりわいとしている。福袋は40年以上趣味で購入しており、一番高い買い物は車の福袋。
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