地方私鉄や第三セクターのビジネスモデル探訪:車も売れば石も売る(1/4 ページ)
鉄道会社グループというと、多様な関連ビジネスを行うことで経営実績を上げる事例がよく見られる。しかし経営の厳しい地方私鉄や第三セクターは、独自のビジネスを採用し、状況を改善しているところも多い。今回は、これら独自ビジネスを行う鉄道会社を紹介する。
鉄道を運営している会社が、さまざまな関連ビジネスを行い相乗効果で経営実績を上げるのは、都市部に限った話ではない。地方でも、鉄道だけではなく総合企業グループとして実績のある鉄道会社がある。
一方、経営の厳しい地方私鉄や第三セクターは、独自のビジネスで利用者や注目を集めることで、状況を改善しているところも多い。
今回は、数々のそんな鉄道会社を紹介したい。
鉄道会社なのに車を売る?
静岡県にある静岡鉄道は、トヨタ自動車のカーディーラーである「静岡トヨペット」「トヨタカローラ東海」「ネッツトヨタスルガ」を経営している。さらには、「静鉄自動車学校」という自動車学校も運営する。
静岡鉄道は新静岡〜新清水間、つまり静岡市内(合併する前の静岡市と清水市)で鉄道を運行している。この静岡鉄道は、地方では珍しく高頻度運転のダイヤを組んでいるため、多くの地元の人たちに支持されている点が特徴だ。ダイヤは、平日昼間は10分間隔、ラッシュ時には6分間隔で、通勤・通学に便利な鉄道となっている。
だからといって中古車両を運行しているわけでもない。静岡鉄道では「A3000形」という総合車両製作所製の「sustina」シリーズの新車を導入し、編成ごとに7色を使い分け、「shizuoka rainbow trains」と名付け、新しさと快適さを利用者にアピールしている。
もちろん、静岡市といっても広いことは重々承知だ。沿線だけで市内の交通がまかなえないのも確かである。
関連記事
- 中央快速線E233系にトイレ設置、なんのために?
JR東日本の中央線快速で、トイレの使用が可能になることをご存じだろうか。「通勤電車にトイレ?」と思われた人もいるかもしれないが、なぜトイレを導入するのか。その背景に迫る。 - なぜ「プリウス」はボコボコに叩かれるのか 「暴走老人」のアイコンになる日
またしても、「暴走老人」による犠牲者が出てしまった。二度とこのような悲劇が起きないことを願うばかりだが、筆者の窪田氏は違うことに注目している。「プリウスバッシング」だ。どういう意味かというと……。 - お客の「肘」を見ただけで、なぜ塚田農場の売上は伸びたのか
店内にカメラを設置して、その映像をじーっと見る。スタッフなどの動きを分析して、生産性向上を支援している会社がある。「トリノ・ガーデン」だ。具体的にどんなことをしているのか。同社の社長に話を聞いたところ……。 - 「男女混合フロア」のあるカプセルホテルが、稼働率90%の理由
渋谷駅から徒歩5分ほどのところに、ちょっと変わったカプセルホテルが誕生した。その名は「The Millennials Shibuya」。カプセルホテルといえば安全性などを理由に、男女別フロアを設けるところが多いが、ここは違う。あえて「男女混合フロア」を取り入れているのだ。その狙いは……。 - なぜ石川県の加賀温泉郷に人が集まるのか 「ファンづくり」の裏側
新型コロナの感染拡大を受けて、多くの観光地が苦しんでいる。Go To トラベルによって人出が戻りつつある中、週末には多くの観光客でにぎわっているところがある。石川県の加賀温泉郷だ。なぜこの温泉地に人が集まっているのかというと……。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.