若い女性の売り上げ2倍! ハーゲンダッツ「クリスピーサンド」、原点回帰で見直した“王道の味”:前年比4割増の理由とは(1/3 ページ)
ハーゲンダッツ「クリスピーサンド」の販売が好調だ。2020年1〜10月の売り上げは前年同期比40%増。特に、10〜20代の若い女性では基幹商品の売り上げが2倍に伸びている。好調の理由は、クリスピーサンドの原点に立ち返った“味”の戦略転換だ。
サクッとした食感が特徴の、ハーゲンダッツの「クリスピーサンド」。ハーゲンダッツのブランドといえば、カップ商品の存在感が強いが、クリスピーサンドの人気も根強い。日本で開発し、約20年前から販売しているロングセラー商品だ。
今、そのクリスピーサンドの販売が好調に推移している。2020年1〜10月の売り上げは前年同期比40%増。特に、若い女性の購入が伸びており、基幹商品の「キャラメル」フレーバーの10〜20代女性の売り上げは、前年と比べて2倍になったという。
その最も大きな要因は、キャラメルフレーバーのリニューアルを中心とした商品開発。18〜19年はロングセラー商品ならではの課題に直面し、伸び悩んでいた。それを乗り越えることができたのは、“原点回帰”や“分かりやすさ”に注目し、戦略を転換したからだ。
「タコス」を参考に日本で開発、約20年で2倍の販売規模に
今では定番商品となっているクリスピーサンドだが、その開発には7年もかかった。1994年、日本の消費者向けに「今までにない驚きと感動を与える商品」を求めて開発に着手。アイスクリームであるにもかかわらず、メキシコ料理の「タコス」を参考にした。片手で気軽に食べられる、パリパリとした食感の料理がヒントになったという。
2001年、満を持して第1号商品「キャラメル」を発売。当時、発売から約6週間で販売を一時休止するほどの売れ行きとなった。日本での好調を受けて、欧州・アジア市場にも展開していった。以後、日本では「キャラメル」フレーバー1商品を基幹商品として、季節ごとに年4商品の期間限定フレーバーを発売している。クリスピーサンド全体として、19年間で2倍の売り上げ規模に成長した。
そんなクリスピーサンドも、ここ1〜2年は成長が鈍化していた。だが、20年は前年を4割上回る成長を遂げている。今年は新型コロナウイルスの市場への影響もあったが、クリスピーサンドの売り上げの伸び率は、その影響が出る前の1月が最も高かった。そのため、ハーゲンダッツジャパン ブランド戦略本部の太田香織氏は「年初に実施した大幅なリニューアルの効果が大きい」と話す。
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