若い女性の売り上げ2倍! ハーゲンダッツ「クリスピーサンド」、原点回帰で見直した“王道の味”:前年比4割増の理由とは(2/3 ページ)
ハーゲンダッツ「クリスピーサンド」の販売が好調だ。2020年1〜10月の売り上げは前年同期比40%増。特に、10〜20代の若い女性では基幹商品の売り上げが2倍に伸びている。好調の理由は、クリスピーサンドの原点に立ち返った“味”の戦略転換だ。
王道の「ザ・キャラメル」で原点回帰
なぜ商品リニューアルで売り上げを大きく伸ばせたのか。その理由は、リニューアルした基幹商品、今年発売した期間限定商品ともに、開発において“味”の方向性を大きく見直したからだ。
基幹商品のキャラメルフレーバーは、前回のリニューアルが17年。当時の流行を参考に“大人っぽい”味に仕上げた「キャラメルクラシック」を展開してきた。甘さと苦味のバランスを考慮して開発したキャラメルアイスクリームを、ビターな味わいのキャラメルコーティングで包んだ、苦味をきかせた大人向けの味だった。
今回のリニューアルでは、その味わいを大きく転換。「クリスピーサンドとしての原点に立ち返り、キャラメル本来のおいしさを追求した」(太田氏)。これまでよりも甘くてミルキーなキャラメルの味を感じられるアイスクリームを開発し、アイスクリームを包むキャラメルコーティングも甘い余韻の残る味にしている。商品名も「これがキャラメル味だ!」という思いを込めて、ストレートに「ザ・キャラメル」と打ち出した。
また、パッケージも一新。14年から使用してきた濃い赤の背景から、明るい白を基調としたデザインに変更した。商品とともに、キャラメルの写真が象徴的に見えるようなパッケージになっている。
「クリスピーサンドは、濃厚なアイスクリームが食べたくて購入する人が多い。アイスクリームの中でも、さっぱりというよりは濃厚さが求められる商品。それを追求すれば、さらに魅力を出せる」と太田氏は話す。ブランドの原点に立ち返って生み出したのが、“王道”のキャラメル味だった。
その方針は、今年の期間限定商品でも同じだ。期間限定商品は近年、“難しい”傾向のフレーバーが多くなってしまっていた。
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