YouTubeが落ちた日、ユーザーはどこに行った? データで解析:古田拓也「今更聞けないお金とビジネス」(1/2 ページ)
世界から突然YouTubeが消えたとき、人々はどこに居場所を求めるのだろうか。圧倒的なシェアを誇るYouTubeがなくなったとき、ユーザーはインターネットのどこに居場所を求めたのだろうか。今回はGoogle Trendsデータインターネットユーザーの動向を日米で比較した。
世界から突然YouTubeが消えたとき、人々はどこに居場所を求めるのだろうか。
12月14日、Googleのサービスの多くが利用できなくなった。日本時間の20時45分〜21時35分に、YouTubeやGmailをはじめとして、認証が必要なすべてのサービスを含めて大規模なシステム障害が発生した。
原因はGoogleの内部ストレージにおけるディスク容量の割り当て問題。中央ID管理システムの容量が少なくなってしまったことで認証が必要なサービスを中心に機能不全に陥ってしまったのだ。
障害が復旧するまでにかかった時間は、わずか45分間程度。しかし、世界に与えたインパクトは甚大である。例えば日本では、YouTubeの動画を見られなかった人々がニコニコ動画に殺到するという動きをみせた。短期間での異常なアクセス数の高まりによって、ニコニコ動画も一時的に視聴やページ表示に不具合をきたすという結果となったのだ。
このように、圧倒的なシェアを誇るYouTubeがなくなったとき、ユーザーはインターネットのどこに居場所を求めたのだろうか。今回はGoogle Trendsのデータからインターネットユーザーの動向を日米で比較した。
ニコニコとTwitterに流れた日本ユーザー
まず、障害発生時の日本の動きに注目してみよう。YouTubeが落ちたとされる14日の21時近辺に、大きく分けて2つの山が浮かび上がる。
それはTwitterとニコニコ動画だ。YouTubeがダウンした時間帯とちょうど重なるかのように検索トラフィックが急増している。一方で、Facebook、インスタグラム、Netflixは障害発生時も特段の検索トラフィック増は確認できなかった。
一方で米国は異なる状況だ。同じく14日21時近辺のグラフを確認すると、Twitterにやや小幅な伸びが見られるものの、最も利用度が高まったのはFacebookである。もともと利用度が高い周期にあたるものの、障害発生時における検索トラフィックの角度は最近でも最も鋭いため、Facebookへ流入した人々が増加したといってよいだろう。
驚くべきは、水色で示した競合の動画配信サイトの推移ではないだろうか。日本では2番手の印象が強いニコニコ動画が、YouTubeの不具合と同時に流入を増加させた。
反対に、米国における「動画配信サイト」への影響はほとんど現れなかった。米国では複数の動画配信サイトが存在しているが、米国における2番手、3番手の動画サイトでも、障害発生時に特段の流入増加はみられなかったのだ。グラフに採用したDaylyMotionをはじめとしたさまざまな動画配信サイトで流入増が観測できなかった。
なぜ日本と米国でこれほどの差が生まれたのだろうか。その要因は大きく分けて2つある。
関連記事
- “鬼滅缶”で大成長? 3週間で5000万本を売ったダイドーから学ぶ「コラボ成功のヒケツ」
大ヒット中のアニメ、「鬼滅の刃」とコラボ企画を行った企業の決算が徐々に開示されてきた。今期には「劇場版 鬼滅の刃 無限列車編」の公開に合わせたコラボ企画が相次ぎ、業績を回復ないしは成長させる企業が現れ始めている。 - あなたの会社がZoomではなくTeamsを使っている理由
「Zoom飲み」といった言葉をSNSでも度々見かけるほど、ごく普通に使われる、ビデオ会議ツールのスタンダードになってきたZoom。ところがついに自社にもWeb会議ツールが導入されると思ったら、ZoomではなくSkypeやTeamsだった――。その理由には、マイクロソフトのビジネスモデル戦略があった。 - ふるさと納税「復活」の泉佐野市を支持すべき2つの理由
ふるさと納税の対象から、泉佐野市を除外した国の行為が違法であることが、最高裁で確定し、泉佐野市が今年のふるさと納税先として復活する見通しとなった。ふるさと納税には批判もあるが、泉佐野市がこれまでに置かれていた状況を鑑みれば、ふるさと納税における制度の範囲内で創意工夫することについて、必ずしも「眉をひそめる」結果であるとはいえない。 - AppleとIntelが別れる、語られない理由
Appleは、なぜ脱Intelを進めると発表したのか。いろいろな分析が出ているが、ここではAppleが語らなかったある事実を取りあげる。知っている人はみな知っているが、日本語圏のメディアではあまり語られない事実だ。Intelは、もはや世界一の半導体製造技術を持つ企業とは呼べなくなっているのである。 - 1万円の納豆生涯無料パスポート、適正価格は何円?
1万円で納豆定食が生涯無料で食べられるパスポート。意図はともかく、金額設定がおかしく、利回り計算するとあまりに無謀だった。では、適正な価格はいったいいくらなのだろうか? - 「SBIや三菱UFJも被弾」相次ぐ不正出金のウラに隠れたもう1つの危ない現実
9月7日のドコモ口座による銀行預金の不正出金問題がくすぶり続けている中、16日にはSBI証券の顧客口座から、不正に計9860万円が引き出される事件が発生した。今回は、これらの不正出金問題を振り返りつつ、巷で見過ごされがちなもう1つの危ない現実についても確認したい。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.