ロボアド初の上場 潜在市場は16兆円超 ウェルスナビ柴山CEO単独インタビュー(3/4 ページ)
顧客の資産をアルゴリズムに従って自動で運用するロボアドバイザー国内最大手のウェルスナビが12月22日、東証マザーズに上場した。調達した資金を使い、何を目指すのか。同社の柴山和久CEOに聞いた。
NISAに続き、税制優遇制度の明確化に期待
――一般NISAへの対応を発表した。一般NISA対応の利点をどう考えているか。
19年12月の税制改正大綱で、一般NISAが延長され、つみたてと一本化されることが発表された。23年までの時限措置であるNISAは長期投資にフィットしないと考えて、これまで対応していなかったが、延長発表によって長期投資のために一般NISAを活用できると考えて対応を決め、この1年間開発を進めてきた。
一般NISAへの対応で、WealthNaviを使っている顧客の資産形成を加速できる。NISAという非課税のサービスの中で、おまかせ自動のサービスを使うことができるのが大きなメリットだ。
新しく資産運用を始めるお客さまにも、NISAの非課税メリットは知られ始めている。しかし、つみたてNISAのように投資できる商品が限定されているものでさえ、どういう商品を選んだらよいか分からないという声が多く挙がっている。非課税のメリットを生かしながら、おまかせして投資できるWealthNaviがそのまま使えることは、一歩を始めるうえでメリットが大きい。
お客さまの強い期待を感じている。まずは直販のサービスからスタートし、パートナー経由のサービスでも対応できるよう検討を進めている。
――税制優遇制度には、つみたてNISA、iDeCoなどさまざまなものがある。こうした制度への対応についてどう考えているか。
つみたてNISAやiDeCoは、制度ができたときにロボアドが存在していなかったので、法令対応できるのかできないのか明確ではない。つみたてNISAは、フィンテック協会、日本証券業協会、経団連から、ロボアドバイザーを含む投資一任契約が使えるよう、規制を明確化してほしいと提言が出た。iDeCoにもついてもフィンテック協会から同様の提言が出ている。
規制ができたときに存在していなかったサービスが、イノベーションによって新しく始まった。規制が後からでも対応できるといい。iDeCoのベースになっている米国のIRA(個人退職勘定)という制度を見ると、ロボアドバイザーは問題なく対応しており、ロボアドバイザー、あるいは対面のアドバイザーを通じて利用している。日本においても、規制が明確化することが望ましい。
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