テレワークで若手は「生産性上がるも苦痛」な真の理由:“いま”が分かるビジネス塾(1/3 ページ)
テレワークでは若手と中高年に働き方の顕著な差が。若手の方が生産性が上がりやすい。一方でストレスは増す傾向、なぜ?
新型コロナウイルスをきっかけに日本でもテレワークが一般的なものとなった。テレワークで仕事がどう変わったのかという調査も行われているが、どういう訳か変化に直面しているのは若手社員ばかりである。中高年からあまり声が聞こえてこないのはなぜだろうか。
若手は多くのが生産性向上を実感しているが・・
日経BP総合研究所イノベーションICTラボの調査によると、「若手はテレワークで生産性が上がったと認識しているが、中高年社員は逆に生産性が低下したと考えている」とのことである。
同研究所では、国内のビジネスパーソンを対象にテレワークによって生産性がどう変化したのかなどについて尋(たず)ねる調査を行った。この調査はあくまで本人がどう感じたのかというものなので、何らかの指標で生産性を直接測定したわけではない。だが逆に言えば、テレワークに直面したビジネスパーソンのリアルな感想を反映しているとも言える。
「従来の生産性を100とした時、100超120未満もしくは120以上(つまり生産性が上がった)」と回答した人は39歳以下では45.7%だったが、40歳代は24.1%、50歳以上は19.4%と、年齢が上がるにつれて割合が低下していた。100未満になった(つまり生産性が下がった)と回答した人の割合は、逆に年齢が上になるほど上昇している。若手社員はテレワークによって生産性が上がったと考え、ベテラン社員は逆に生産性が下がった(と感じている)ということになる。
このデータだけを見れば、若手はITツールを使いこなし、中高年社員はITツールに馴染めず、暇をもてあましているという図式が目に浮かぶが、一方で、若手が苦労しているという調査結果もある。
メンタルヘルスケアを手掛ける企業の調査によると、最近のビジネスパーソンに対するストレスチェックの結果、25歳以下の高ストレス者の割合は、コロナ前の2019年と比較して大幅に増加していた。一方、中高年社員における高ストレス者の比率は逆に減少しており、基本的に年齢が高いほどストレスを感じにくくなっている。
関連記事
- コロナ禍転職不況、中でも「特に厳しい意外な人材」とは?――独自データで分析
コロナ禍で転職市場が悪化、急速に買い手市場に。中でも求人が特に激減している「人材の層」があるという。dodaの独自データから分析。 - 「何でもスクショ」な若者と「いつでも電話」中高年の意外な共通点――日本特有の“使えない人材”とは
「何でもスクショを飛ばして済ます」若者が話題に。ただ根底の問題は「いつでも電話」してしまう中高年と一緒と筆者は指摘。日本企業の人材、ひいてはマーケティングに横たわる課題とは? - コロナ危機が日本企業の非合理な“ムラ社会”を確実に破壊する訳
非合理な面もあった日本企業の“ムラ社会”。筆者はコロナ危機で崩壊する可能性を指摘する。終身雇用の終焉や「ムダな社員・職場」の顕在化が進む。 - 高齢者は朝のドラッグストアへ本当に「殺到」したか 購買データで解明
ドラッグストアに朝「殺到」しているのは本当に高齢者か。購買データから真相を解明した。「トイレットペーパー買い占め」騒動時の動静も明らかに。 - 緊急事態宣言解除後、「通勤という因習」は復活したのか――ビッグデータで解明
コロナ禍で進んでいたテレワーク。では緊急事態宣言解除後、通勤はどれくらい「復活」したのか。オフィス街の滞在人口のビッグデータから解明。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.