社員の9割「テレワーク継続」の企業が実感した、リモート化の絶大な効果:アフターコロナ 仕事はこう変わる(2/3 ページ)
特に中小企業でテレワーク継続が難しいケースが多い中、約400人いる社員の9割がテレワークを続けているのがBFTだ。試行錯誤の中で続けてきたが、業務のオンライン化によって「社内コミュニケーション」と「外部との連携」に大きな“効果”が現れている。
それでも、ITインフラ事業を手掛けており、エンジニアも多いことから、オンラインツールの運用やセキュリティのルール徹底などはやりやすかった。ただ、社内のコミュニケーションや業務管理については、手探りの状態から始めた。
その一つが「朝会」。テレワーク導入前は「できるだけ実施しよう」という呼びかけにとどまっていたが、テレワークでは全員が必ず参加することに決めた。朝会はプロジェクトごとに実施。プロジェクトに参加していない新入社員も、トレーナーが参加する朝会に呼ぶなど、全員が参加するようにした。テレワークでも仕事をきちんと進めるために、積極的に朝会を実施するチームが増えたという。
一方、メンバーの業務を管理する社員には苦労もあった。同じ空間で仕事をしていたときは、メンバーの様子を見て、壁にぶつかっているようなら声をかけて指導することができていた。しかし、テレワークになると、「いくつかのプロジェクトでは、ふたを開けてみたら業務が終わっていない、ということがあった」(小林社長)。これまでよりも明確に、業務確認をする機会を作るなど、指示の出し方を変える必要に迫られた。また、プロジェクトの内容によっては、週1回出社してメンバーの認識を合わせることも行っている。
テレワーク継続で見えた、社内コミュニケーションへの効果
試行錯誤を重ねてテレワークを実施してきた同社だが、その体制を継続することによって、会社にプラスの効果をもたらした点があるという。それは「社内コミュニケーション」と「外部との連携」だ。
社内コミュニケーションの一つが、新入社員の教育。本年度は新入社員56人に対してトレーナー4人の体制でセミナー形式の研修を予定していたが、4月、急きょオンラインに切り替えた。オンラインだと、相手のPCの画面を見ながら教えるなど、以前は自然にやっていたことがやりにくくなり、当初は苦労した。Web会議での会話だけでなく、チャットツールなどいくつかの方法を駆使してコミュニケーションを取ることで、徐々に慣れていったという。みんなでラジオ体操をやる時間を設けるなど、一体感を高める取り組みも実施した。
小林社長は「結果として、オンライン研修で良かったと思う。来年度以降もこの形式でやっていければ」と話す。オンラインによって心理的に距離が生まれることを懸念していたが、むしろ個人に対してより丁寧に対応できるようになったからだという。「これまでセミナー形式で“1対n”だったのが、“1対1”になったのでは」と見る。
一方、課題も残った。新入社員は、Web会議の画面を通じて、トレーナー1人が担当する十数人だけとしか頻繁に交流ができない。56人の“同期”という感覚が薄れ、社内の人間関係も希薄になってしまう。来年度は「同期の横のつながりを埋める取り組みも必要」(小林社長)と考えているという。
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