なぜ、企業研修・セミナーは「つまらない」のか 大学のオンライン授業で得た気付き:コロナ禍でオンライン化も進むが……(4/4 ページ)
「つまらない」と感じる人が意外と多いのが、企業研修やセミナーだ。コロナ禍を受けてオンラインで受ける機会が増えたが、面白いと思えるものは多くない。なぜ、つまらないのか。法政大学で講師を務め、オンライン授業も実施している筆者が解説する。
冒頭にお伝えした「つまらない研修」も、筆者は同じような問題を抱えていると思っています。いつの間にか定型化されて「実施する」ということが前提になってしまった定期研修は多いのではないでしょうか。毎年、決まった内容を繰り返しているものもあるかと思います。筆者が見直すべき3つのポイントをお伝えします。
(1)「伝える」ではなく「伝わる」を意識する
研修の主催者は、決まった時間で伝えたいことが多くあるので、たくさんのことを盛り込みがちです。しかしこれでは「伝える」ということが目的化してしまうだけと筆者は考えています。研修の本質的な意義は「研修を受けて、その後に行動変容が起こる」という点にあります。そのためには、受講者が研修内容を正しく理解すること、「伝わる」というポイントを意識して設計をしましょう。
(2)受講者が「得する」ことを考える
以前から行っている研修でも、時代の流れとともに受講者が置かれる状態は変化していきます。これまで実施した定期的な研修でも、実施時に受講者が「何を求めているか」をしっかりと考えましょう。研修前に事前アンケートを取ってニーズや課題感を確認しておくのもいいでしょう。研修の主役は受講者です。受講者が「得する」ということを考えましょう。
(3)研修は「機会を提供する場」と捉える
研修の主催者は、研修で成果を上げるために主導権を握りがちで、一方的になることもあります。それよりも、同じ課題を抱えている受講者同士の交流を組み合わせてみましょう。学びは、インプットも大事ですが、受講者同士のアクティビティにより思わぬ発見が生まれることも多いのです。研修は、一つの学びのきっかけ作り、あくまで「機会を提供する場」と捉えると、研修の幅が広がるはずです。
オンライン化しても、「本質」を忘れない
コロナ禍により、オンラインの活用頻度は一気に上がりました。多くの人がオンラインを経験し、徐々に慣れてきています。
これまでは、対面でしか行ってこなかった企業の育成も、オンラインと組み合わせることで育成のバリエーションが増やすことができるはずです。変化は本質を見直すチャンスです。変化が激しい時代だからこそ、今このタイミングで自社の研修も見直してみてはいかがでしょうか。
著者プロフィール・高橋 実(たかはし みのる)
組織・人事クリエイティブディレクター/マイクロ人事部長
株式会社モザイクワーク 取締役
株式会社ティーブリッジェズカンパニー 代表取締役
法政大学 兼任講師ほか、複数企業の人事責任者として従事。
慶應義塾大学卒業後、株式会社ジェーシービーでインターネット黎明期の新規事業立ち上げに従事、その後NTT、トヨタのクレジットカード事業立ち上げに参画。その後人事に転身し、トヨタファイナンス株式会社、創業100年企業、株式会社HDE(現HENNGE株式会社)で人事部長を歴任したのち、「人事の複業」として複数企業の人事責任者としてハンズオンで企業の組織改革を手掛けている。
新卒、中途、アルバイト採用変革、外国人採用、人事制度改革、女性人材活用、組織改革プランの企画・実行、HR Tech導入、労務実務改革、組織健康戦略、戦略総務(BCP/リスクマネジメント/オフィスファシリティマネジメント)など、企業の中に入ってハンズオンで行っている。セミナー登壇・メディア出演多数。
「高橋実@マイクロ人事部長」としてnoteでも情報発信を行っている
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