アパレル“総崩れ”はコロナのせい? 復活に必要な6つの「シフト」:カジュアル化の流れ(3/5 ページ)
コロナ禍でアパレル業界が窮地に陥っている。しかし、根本的な変革が求められていたと筆者は主張する。業界の“悪弊”を抜け出すために必要な戦略とは。
ファッションスタイルの劇的変化でアパレル支出減少
アパレルメーカーは年間4シーズンごとにコレクションや展示会を開き、懸命に新たなトレンドを提案してきました。
その一方で、大量の売れ残りを生み出し、洋服の大量廃棄問題に発展しました。18年には英・バーバリーが年間41億円分の商品を廃棄したと報じられ社会問題となりました。
19年、日本のアパレル市場では28億点の商品が投入され、実際に消費されたのは14億点だったというデータがあります。誰も着ない洋服をわざわざ作って余らせているようなものです。作れば売れる時代は消失しました。
総務省の家計調査(2人世帯)の品目別消費支出構成比をみると、アパレル商品が売れ残る理由がはっきりと分かります。
食料品や交通・通信の消費支出はこの20年間でも増加傾向にあり、家計に占める構成比も上がっています。食品、中食、飲食などの需要が伸びていること、スマホなどの通信消費が増えているのは多くの人が実感しているでしょう。
一方で理美容、交際費、小遣い、仕送りなどの「その他」消費、住居、家庭用耐久財の支出は減少しています。中でも「被服及び履物」は大きな影響を受けています。
消費支出全体(2人世帯以上)は20年前の7.5%減というのが実態です。一方、同期間のアパレル消費は34.4%の減少です。20年前は消費支出全体に占める割合が5%以上あったのに、今では3.9%しかありません。アパレル支出は不況期だけでなく、好況期にも減少を続け、20年度はコロナによって大幅減となったのです。
アイテム別に見てみましょう。
アパレル関連消費は全てのアイテムが、この20年間で6掛け程度に減少しています。特に主力の洋服、シャツ・セーター類は紳士・婦人共に大きく減少しており、市場が完全に縮小したことが分かります。
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