テスラからの争奪戦が勃発、中国自動車業界へ参入するメガITの勝算:浦上早苗「中国式ニューエコノミー」(6/6 ページ)
2020年の自動車業界の最大トピックは、トヨタを抜き世界首位となったテスラの時価総額だろう。販売台数ではトヨタの10分の1もないが、中国マーケットを取り込んで業界に変革を起こし、中国新興EVメーカーは勢力を拡大、さらにメガIT企業の参入も呼び込んだ。そこで21年に台風の目となりそうな、中国自動車業界の注目トレンドを紹介したい。
中国自動車業界は、変革可能性大のレッドオーシャン
調査会社のIDGアジアは、20年から25年の5年間で、コネクテッドカー市場が年平均36%成長すると予測する。アリババも最近、自動車メーカーや地方政府と合弁でEVメーカーを設立しており、メガITが次世代自動車を成長の新たな柱として捉えていることが分かる。
一方で、アリババ、ファーウェイ、DiDiのいずれもが、自動車メーカーと提携し、共存共栄する道を選択したことは興味深い。
中国の自動車市場は、国有大手、「民族系」と呼ばれる民営企業、そして新興EVメーカーが入り乱れて競っており、成長が緩やかになれば、今度は淘汰が加速する可能性が高い。21年の台風の目玉と言われる恒大汽車も、先行する中国メーカーとの差を埋められるかは不透明だ。
自動車産業は、IT企業の間でも変革の余地が大きいと同時に、レッドオーシャンでもあるという認識が広がっているのだろう。
筆者:浦上 早苗
早稲田大学政治経済学部卒。西日本新聞社を経て、中国・大連に国費博士留学および少数民族向けの大学で講師。2016年夏以降東京で、執筆、翻訳、教育などを行う。法政大学MBA兼任講師(コミュニケーション・マネジメント)。帰国して日本語教師と通訳案内士の資格も取得。
最新刊は、「新型コロナ VS 中国14億人」(小学館新書)。twitter:sanadi37。
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