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ガソリン車禁止の真実(ファクト編)池田直渡「週刊モータージャーナル」(2/6 ページ)

年末の慌ただしい時期に、自動車業界を震撼(しんかん)させたのがこのガソリン車禁止のニュースだった。10月26日の菅義偉首相の所信表明演説と、12月11日の小泉進次郎環境大臣会見が基本になるだろう。カンタンにするために、所信表明演説を超訳する。

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 次に、具体的な重点対象を超訳したものが下図だ。「次世代型の太陽電池とカーボンリサイクルが対象」だと言っている。ただし、後に手段の部分で原子力発電が出てくるのにここで触れていないのは、原発問題はデリケートなので、あんまり言及したくないのだと思われる。


菅首相の所信表明演説から具体的なプラン

 では、どうやってそれを実現していくのかといえば、ここでは、再生可能エネルギーと原子力を挙げていて、予防線として「安全優先」と断り書きがわざわざ付けてある。加えて「石炭火力政策を抜本的に転換」との言い回しで、「廃止」とハッキリは言わずに言葉を濁していることが分かる。

 ひとつ疑義があるのは、「50年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、すなわちカーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指す」というのであれば、石炭を完全撤廃するだけでは無理で、石油と天然ガスも止めないと、冒頭に掲げた目標は物理的に達成できないにもかかわらず、そこも触れていない。もちろんカーボンリサイクル策としてCO2回収設備を付けた火力発電であれば、カーボンニュートラルは可能になるのだろうが、コストの問題が解決しておらず、明言できないことがうかがわれる。

 カーボンニュートラルも、環境技術による成長戦略も、基本的にはポジティブに受け止めていい話だと思う。しかし、50年のカーボンニュートラル宣言については、明確なルートマップができているようには聞こえない。

 具体的にいえば、石炭は完全撤廃なのか、石油と天然ガスはどう扱うのか。菅首相は、カーボンニュートラルを政策の一丁目一番地と位置づけてはいるが、要するに本質は「50年にカーボンニュートラルにします」と言っているだけで、それについて具体的なプランが無い。そしてそもそも自動車については何も触れていない。小泉環境大臣はどうだろうか?

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