「ノックは2回」 謎マナーは本当に必要なのか：就活には黒スーツ（3/3 ページ）

年も明け本格化する新卒就活。就活には黒スーツ、ノックは3回といった「作法」を知らなければマトモな社会人には成れない！　とばかりにマナー講座、「社会人の常識」講座などで言われるのですが、ホントなのでしょうか。

[増沢隆太，INSIGHT NOW!]

異なる正解

　マナーが不要だとは思いません。しかし理系や上位校文系学生すべてに、お辞儀の角度や客室乗務員による笑顔講座が必要とは全く思いません。ホテルやデパート、サービス業で、接客や接遇が重要な職務であれば、こうした知識や能力は欠かせないことでしょう。しかし大学院修士課程で研究を進める理系学生にとって、およそ優先順位は高いとはいえません。

　「就活で企業が求めるものは何か？」と学生だけでなく、同僚の教員の先生方からも聞かれることがあります。その「求めるもの」はたった一つの正解ではないのです。旧帝大理系の大学院生に求めるものと、中堅校文系学部生が同じ職務で応募することは希なはず。職務によって、正解は異なります。

　就活は試験ではなく、採用というビジネスの一環です。ビジネスにおける成果は一律なものではありません。経営目標やゴール設定によって常に変化する多辺形なもの、それこそ現実のビジネスが追い求めるもの。つまりテストにおける一つの正解を当てるという学生の思考から、多辺形のゴールを目指すビジネスの思考への適応力こそが求められるものです。

　謎マナーに踊らされることなく、自らの判断力を鍛えましょう。（増沢 隆太）

→フォローして増沢隆太氏の新着記事を受け取る