自販機1日の売り上げは1000円未満 ダイドーが“鬼滅缶”で増益を達成できた理由:ビジネスの構造(1/4 ページ)
鬼滅の刃とタイアップした缶コーヒーがヒットしたDyDo。発売から3週間で累計販売数が5000万本を突破。自販機ビジネスの収益モデルとは?
2020年は、新型コロナウイルスが流行したとして、歴史に刻まれた年になった。それとともに、エンターテインメント分野では、『鬼滅の刃』の大ヒットも必ず記憶されるのではないか。
興行成績がそれまで過去最高だった『千と千尋の神隠し』(2001年公開)の約316億円という記録を、『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』が抜いて、歴代ナンバー1のヒット映画となった。宇宙戦艦ヤマト、機動戦士ガンダム、ドラゴンボール、美少女戦士セーラームーンといったように、世代の思い出となるアニメになったのは間違いない。
社会現象にまでなった鬼滅の刃だが、巷(ちまた)にはタイアップ商品があふれた。
「こんなにいろいろあると、タイアップした側の企業はもうかっていないんじゃないのか?」
そう疑問に感じた方も多いだろう。タイアップで、収益的に成功した企業もあれば、不発に終わった企業もあるだろう。代表的な成功事例となったのが、飲料業界中堅のダイドーグループホールディングス(以下、ダイドー)だ。
営業利益が前年同期比で6割増
鬼滅の刃とのタイアップは10月5日に開始した。そのため、21年1月第3四半期(20年8〜10月)の決算には、1カ月程度しか寄与しなかった。にもかかわらず、本業でどれだけもうかったかを表す営業利益は、前年同期比累計で1.6倍だった。コロナの影響で、最大手のコカ・コーラボトラーズジャパンや、業界2位のサントリー食品インターナショナルが営業減益となるなかで、ダイドーの好調さが際立った。
自動販売機を主体として飲料を売ることで、前20年1月期にはグループとして連結で1682億円の売り上げをあげているダイドー。自販機のビジネスと、タイアップ先をヒット商品がもうけさせる構造を解説したい。
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